2010 Fiscal Year Annual Research Report
不斉触媒を用いたイソキノリン及びインドールアルカロイド類の全合成研究
Project/Area Number |
20590012
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
伊藤 喬 昭和大学, 薬学部, 教授 (40159885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 和弘 昭和大学, 薬学部, 准教授 (20208010)
金光 卓也 昭和大学, 薬学部, 助教 (10372913)
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Keywords | 酵素阻害薬 / 海洋天然物 / グルコシダーゼ阻害 / penasulfate / 不斉全合成 |
Research Abstract |
海洋天然物として単離されたpenasulfate Aは、強いα-グルコシダーゼ阻害活性を有している。また、これまでの生理活性物質には見られない、含窒素複素環と長鎖脂肪酸がアミド結合によってリンクされた極めて特異な構造を持つ。糖尿病薬として用いられる他のα-グルコシダーゼ阻害薬とは全く異なる構造を有することから、新規な生理作用発現メカニズムを経由して活性を示していることが予想される。そこで、新たな創薬のシーズとなることを期待して、本化合物の不斉全合成とその生理活性の検証、更には類縁体合成による高活性化合物の創製を目指して研究を行った。α-グルコシダーゼ阻害活性を有する化合物は、糖尿病治療薬として研究、使用されてきたが、近年、タンパク質のグリコシル化過程に関わるだけでなく、小胞体におけるタンパク質の折りたたみの促進や細胞表面の糖タンパク質の安定化、オリゴ糖代謝の調節など広範囲にわたる生物学的過程に関与することが明らかとなっている。特に、ウイルス膜上に存在するエンベロープ糖タンパクの糖鎖プロセシングを阻害することで抗ウイルス活性を示すことが明らかになり、ウイルス性肝炎やエイズの治療薬として期待されている。キラル源としてD-リボースとシトロネロールを用い、Wittig反応を利用することでpenasulfate A(1)の長鎖脂肪酸側鎖部分の光学活性体を構築した。その後複素環骨格との縮合反応を行い、本天然物の全ての骨格を合成することに成功した。最後に側鎖水酸基の硫酸化を行うことでpenasulfate A(1)を合成できた。次に本化合物の生理活性を検討する目的で、酵母由来のα-グルコシダーゼに対して本化合物を添加し、実際に酵素反応が阻害されることを確認できた。酵素活性中心の立体構造が明らかとなっていたことから、本化合物と活性中心のドッキングシミュレーションを行い、本化合物が折りたたまれて、活性中心に強く結合していることが示唆された。
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[Journal Article] Catalytic Asymmetric Allylation of 3,4-Dihydroisoquinolines and Its Application to the Synthesis of Isoquinoline Alkaloids.2011
Author(s)
Miyazaki, M.; Ando, N.; Sugai, K.; Seito, Y.; Fukuoka, H.; Kanemitsu, T.; Negate, K.; Odanaka, Y.; Nakamura, T.K.; Itoh, T.
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Journal Title
J.Org.Chem.
Volume: 76
Pages: 534-542
Peer Reviewed
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