2009 Fiscal Year Annual Research Report
連続反応による環形成を活用する抗腫瘍活性分子の効果的合成法開発研究
Project/Area Number |
20590018
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
長岡 博人 Waseda University, 薬学部, 教授 (30155915)
|
Keywords | 抗腫瘍活性物質 / パクリタキセル / フラグメンテーション反応 / ニトリルオキシド / コリオリン / ヨウ化サマリウム / 連続環化反応 / 光学活性シクロペンタノン |
Research Abstract |
平成21年度の研究では、抗腫瘍活性を有する3種類の化合物(パクリタキセル、コリオリン、δ-トコトリエノール)の効果的な合成法開発を中心に検討を行った。パクリタキセルの合成研究は2つの合成計画に従い検討を進めた。ニトリルオキシドを用いる分子内Friedel-Crafts型環化反応を骨格構築の基軸とする第一の計画では、合成上重要なC環部とA環の結合した化合物を高立体選択的かつ高収率で合成する方法が開発された。合成された化合物は、分子内ニトリルオキシドによる分子内環化の適用によりパクリタキセル合成に必要な全ての官能基を備えたタキサン骨格に誘導可能である。また、四環性化合物のフラグメンテーション反応による骨格形成を基盤とする第二の計画では、パクリタキセル合成上重要な2位及び10位に酸素官能基の導入されたビシクロ[2.2.2]オクタン誘導体の合成ルートを確立し、重要な鍵反応の一つである分子内Diels-Alder反応前駆体の合成直前まで到達している。得られるDiels-Alder環化体のラグメンテーション反応でパクリタキセルの骨格合成を完成する予定である。コリオリン合成に関しては、これまでカルボニル基γ位に不斉点を有するビスα,β-不飽和エステルのSmI_2による連続反応の再現性に問題があったが、実験条件の詳細な検討により、安定的に光学活性ビシクロ[3.3.0]オクタン誘導体を合成することが可能となった。この改良によりコリオリンの合成研究が大きく前進した。δ-トコトリエノール類合成に関しては、2,6-ジメチルベンゼン-1,4-ジオールを出発原料とするクロマン骨格の新しい形成法を見出し、短工程でδ-トコトリエノール類を合成するルートを開発した。
|