2010 Fiscal Year Annual Research Report
連続反応による環形成を活用する抗腫瘍活性分子の効果的合成法開発研究
Project/Area Number |
20590018
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
長岡 博人 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (30155915)
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Keywords | 抗腫瘍活性物質 / パクリタキセル / フラグメンテーション反応 / ニトリルオキシド / コリオリン / ヨウ化サマリウム / 連続環化反応 / 光学活性シクロペンタノン |
Research Abstract |
抗がん剤開発における先導化合物を合成する場合、標的の環構造を適切な官能基を備えた形でいかに効果的に構築するかが重要な問題となる。本研究では、3種類の抗腫瘍活性化合物(パクリタキセル、コリオリン、δ-トコトリエノール)の効果的な骨格合成法開発を中心に検討した。パクリタキセルの合成研究は2つの計画に従い検討を進めた。ニトリルオキシドの分子内Friedel-Crafts型環化を骨格構築の基軸とする経路では、合成上重要なC環部の立体選択的かつ高効率的合成法が開発された。合成された化合物にA環を結合し、分子内ニトリルオキシドによる分子内環化を行えば、必要な全ての官能基を備えたタキサン骨格に誘導可能である。四環性化合物の環開裂反応によるタキサン骨格形成を基盤とする経路では、合成上重要な2位及び10位酸素官能基の導入されたビシクロ[2.2.2]オクタン誘導体の合成ルートを確立し、鍵反応の一つである分子内Diels-Alder反応前駆体の合成直前まで到達した。得られるDiels-Alder環化体の環開裂反応で骨格合成を完成する予定である。コリオリン合成に関しては、これまで3位に不斉点を有するビスa,β-不飽和エステルのSmI2による連続反応の再現性に問題があったが、詳細な検討により、安定的に光学活性ビシクロ[3.3.0]オクタン誘導体を得ることが可能となった。この改良によりコリオリンの合成研究が大きく前進した。δ-トコトリエノール類合成に関しては、2,6-ジメチルベンゼン-1,4-ジオールを出発原料とするクロマン骨格の新形成法を見出し、短工程でδ-トコトリエノール類を合成するルートを開発した。さらに、鎖状分子のSmI2の誘起する新しい連続環化反応によるピシクロ[n.3.0]アルカノン類合成における有効性と応用範囲を明らかにした。
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Research Products
(8 results)