2009 Fiscal Year Annual Research Report
高原子価アンチモン及びビスマスからなる有機合成試薬の開発とその創薬科学への応用
Project/Area Number |
20590019
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Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
栗田 城治 Hokuriku University, 教育能力開発センター, 教授 (80100494)
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Keywords | 高原子価アンチモン / 高原子価ビスマス / クロスカップリング / 遷移金属触媒 / C-アリール化 / N-アリール化 / B-アリール化 |
Research Abstract |
1(擬)10-Sb-4型高原子価Sb化合物をトランスメタル化剤とするクロスカップリング反応:先に分子内Sb---N相互作用を持つSb-アリール-1,5-アザスチボシン類(1)が、Pd触媒下の有機ハロゲン化物(RCOCl,ArX)とのクロスカップリングで優れたアリール基供与体として機能することを明らかにした。今回,1の有機合成試薬としての有用性を拡大する目的で,カルボニル化合物との反応を探索した。その結果,1はRh触媒下にα,β-不飽和カルボニル化合物に共役付加すること,アルデヒド類に求核付加してカルビノール類を生成することを見出し,これらの反応は広い一般性を有することを明らかにした。また,Ar_3SbやAr_3Biでも同様の反応が進行することを見出すとともに,本反応はSbおよびBi上の3個のAr基全てが利用される原子効率の高い反応であることを明らかにした。これらの結果は,(擬)10-Sb-4型Sb化合物が,遷移金属触媒下の様々なクロスカップリング反応のトランスメタル化剤として機能することを示している。 210-Sb-5型高原子価Sb化合物を擬ハロゲン化物とするクロスカップリング反応:先にSb(V)化合物[Ar_4SbOAc:2,Ar_3Sb(OAc)_2:3Iが、Ullmann型N-アリール化反応や鈴木型カップリング反応で擬ハロゲン化物として機能することを明らかにした。今回、この機能の拡大を目指して様々な反応を試みた。その結果、3が薗頭型反応の基質となること、この反応を空気雰囲気下で行なうとSb上の2個のAr基が利用されることを見出した。また、3はPd触媒下のジボラン類との反応で炭素-ホウ素結合を生じ、鈴木型ホウ素化反応の基質としても利用できることを明らかにした。 これらの結果は,上記1に記した(擬)10-Sb-4型Sb化合物のトランスメタル化剤としての機能に加えて、10-Sb-5型Sb化合物が様々な遷移金属触媒下のクロスカップリング反応の擬ハロゲン化物としても機能することを示している。
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Research Products
(21 results)