2009 Fiscal Year Annual Research Report
酸・塩基複合有機カルコゲニド触媒を用いた多点制御型キラルエノラート発生法の開発
Project/Area Number |
20590021
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
渡邉 真一 Kinjo Gakuin University, 薬学部, 准教授 (40275095)
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Keywords | 合成化学 / 不斉触媒 / ヘテロ原子化学 / セレニド / ホスフィン |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画に従い、ボルナン骨格を有するホスフィン触媒の合成を試みた。また、各種ホスフィン触媒に対するシクロプロパン化を検討した。さらに反応機構の解析から、より高度なエナンチオ選択的不斉空間の構築が可能と予測された新規セレニド触媒の合成を行った。 THF中、フェニルホスフィンとブチルリチウムとの反応からジリチオ体を発生させ、続いて(1S)-10-ヨードカンファーと処理した。室温及び還流下で反応を行ったが、いずれの場合も原料回収となった。リチウムホスフィドの高い塩基性と、ヨードカンファーの立体障害から、カンファーの脱プロトン化によるエノール化が起き目的の反応が進行しないと思われる。現在、カンファーのケトンを還元しシリル基で保護した後、ジリチウムフェニルホスフィドと反応させる経路を検討中である。 塩化メチレン中、水酸化ナトリウム存在下フェナシルクロリドとメチルビニルケトンとの反応は、触媒としてトリフェニルホスフィンを加えると1,2-アセチルベンゾイルシクロプロパンを55%で与え、トランス:シス=2.5:1であった。ところが、ジフェニルエチルホスフィン及びフェニルジエチルホスフィンを触媒とした場合、いずれの場合もトランス体のみを40%の収率で得た。BINAPを用いた反応では、トリフェニルホスフィンの場合と同様にシクロプロパン体を与え、トランス体が31%、シス体が24%の収率であり、エナンチオ選択性は観測されなかった。 ビス-(10-カンファリル)セレニドに対してグリニャール試薬を反応させ、ボルニル基のエンド位に立体障害を有するセレニドの合成を試みた。室温下、メチルマグネシウムブロミドをジケトン体に対して2当量反応させると、目的のジメチル体は僅か9%と低収率ながらその単離に成功した。次に5当量で検討を行い、目的物の収率は28%まで向上した。
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