2009 Fiscal Year Annual Research Report
環境に優しい「無臭ベンゼンチオール」をグリコシル化反応に利用する糖鎖合成法の開発
Project/Area Number |
20590022
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
梶本 哲也 Osaka University of Pharmaceutical Sciences, 薬学部, 特任教授 (80185777)
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Keywords | p-ドデシルベンゼンチオール / 無臭ベンゼンチオール / グリコシル化反応 / 1-チオ-D-グルコサミニド / p-ドデシルフェニルスルホキシル基 / NIS / TsOH / PPh_3 / CCl_4 / CH_3CN試薬系 / 非還元末端からの糖鎖合成 |
Research Abstract |
申請者は、p-ドデシルベンゼンチオールが無臭で取扱い容易な有機硫黄試薬であることを見出し、これを用いたチオグリコシドの調製およびこれに続くグリコシル化反応が無臭条件下、高収率で進行することを報告している。昨年度は、本無臭ベンゼンチオールを用いて調製したチオグリコシドの中で、無保護の水酸基を有するチオグリコシドをm-クロロ過安息香酸を用いてスルホキシド体(1)へと酸化し、これを受容体基質(アクセプター糖)とするグリコシル化反応の条件を検討した。具体的には、p-ドデシルベンゼンチオールを用いて調製したチオグリコシドの完全保護体(2)をドナー基質として、また、スルホキシド体(1)を受容体基質として用い、できる限り温和な条件下でグリコシル化反応を進行させ、二糖誘導体(5)の効率良い合成法を検討した。その結果、N-フタロイル保護された1-チオ-D-グルコサミニド誘導体をMIS/TsOHで活性化する反応においては、比較的高収率でグリコシル化が進行することが明らかとなった。さらに、得られた二糖の1位に結合しているp-ドデシルフェニルスルホキシル基は、PPh_3/CCl_4/CH_3CN試薬系によって対応するチオグリコシド誘導体に還元でき、次のステップにおいては、本チオグリコシドをドナーとするグリコシリ化にも挑戦し、良好な収率で三糖を合成することに成功した。本糖鎖合成法は、従来、ほとんど報告例のなかった非還元末端からの糖鎖合成を可能にした点で新規性がある。
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Research Products
(8 results)