2010 Fiscal Year Annual Research Report
トランスポーターの輸送分子機構解明の新展開:光駆動性ポンプをモデルタンパクとして
Project/Area Number |
20590031
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
宮内 正二 松山大学, 薬学部, 教授 (30202352)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊川 峰志 北海道大学, 創成科学共同研究機構, 助教 (20281842)
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Keywords | ハロロドプシン / トランスポーター / 光駆動性イオンポンプ / 輸送分子機構 / 電気生理 / レチナールタンパク / スイッチ機構 / 分子弁 |
Research Abstract |
Microbial rhodopsinの1種である光駆動性クロライドポンプ,ハロロドプシン(HR)をモデルタンパクとして用い,膜輸送タンパク,トランスポーターの輸送分子機構の解明を目的として本研究を行った.特に,クロライドイオン輸送活性を様々な物理化学的手法より測定し,HRの輸送分子機構を明らかにすることを研究目的としている. 申請者が本研究において得た知見は,以下の通りである.(1) 種々の変異体を作成して,そのクロライドイオン結合を測定して結合に対して重要な残基を特定した.R123, S130, D252である.(2) クロライドイオンの細胞外から細胞内へのタンパク内移動には,S130およびD252が重要であることが明らかとなった.S130は,クロライドイオンが細胞質側から細胞外側に逆流が起こらないようにする分子弁の役目を果たしていることが明らかになった.一方,D252はクロライドイオンの輸送に伴いシッフ塩基のプロトン化状態の調節,pKaの低下を行っていることが明らかになった.(3) クロライドイオンを取り込み側から放出側へ移動させる分子的機構,これはよくスイッチ機構と呼ばれ,すべての膜透過過程に含まれるにも係わらず,あまり機構の解明が行われていない.この機構がシッフ塩基のpKaの低下と深く関わっていることも明らかになった.(4) 更に,pKaを測定するために確立したアザイド測定法の詳細を検討したところ,アザイドイオンも輸送していることが明らかになり,HRのイオン輸送機構解明の新展開が期待された. これら本研究において得られた知見は,クロライドイオン輸送の本質であるスイッチ機構に焦点を当て,輸送担体の輸送分子機構の解明を目的とする,23年度から新たに始まる「イオン輸送を伴うトランスポーターの輸送分子機構の解明」という研究に大いに活かされている.
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Research Products
(2 results)