2009 Fiscal Year Annual Research Report
唾液を試料とする無侵襲ホルモン検査システムの開発と臨床応用評価
Project/Area Number |
20590034
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
東 達也 University of Shizuoka, 薬学部, 准教授 (90272963)
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Keywords | 唾液 / ホルモン検査 / LC-MS / MS / 無侵襲 / 加齢男性性腺機能低下症候群 / アンドロゲン / 肝胆道系疾患 / 胆汁酸 |
Research Abstract |
加齢男性性腺機能低下(LOH)症候群の無侵襲診断を目指して唾液中テストステロン(T)及びデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)の同時定量法を開発した.本法では誘導体化試薬として2-hydrazino-l-methylpyridineを用いることにより,T及びDHEAの検出感度をそれぞれ4倍及び1600倍向上させることに成功した(定量限界はいずれも10pg/mL,唾液0.5mL使用).次に本法を臨床試料(n=114)に適用したところ,唾液中T及びDHEAは年齢と共に有意(P<0.001)に減少し,70歳以上のボランティアの両アンドロゲン濃度(n=30, T=27.6±10.9pg/mL及びDHEA:25.3±9.5pg/mL)は,20歳代のそれら(n=24, T:55.0±13.6pg/mL及びDHEA: 57.0±14.9pg/mL)の約50%であった.さらに開発した方法では,両アンドロゲンの日中内リズムやDHEAサプリメント服用後のレベル上昇,すなわち体内のT及びDHEA変動を唾液から読み取ることができた. 一方,唾液を用いるホルモン検査の問題点の一つは,イオン性官能基を有する化合物の唾液中濃度が唾液分泌量によって変動する場合がある,すなわち,唾液から正確な生体情報が得られない場合があるということである.しかし,この点に関して詳細な研究はなされていない.そこで肝胆道系疾患の診断に有用とされる胆汁酸のLC-ESI-MS/MSによる高感度定量法を開発し,唾液分泌量の亢進による唾液中レベルの変動を吟味した.その結果,グリシン抱合型胆汁酸であるグリコケノデオキシコール酸濃度は分泌量亢進により大きく減少するのに対し,遊離型胆汁酸のケノデオキシコール酸の濃度は唾液分泌量に左右されないことを見出した. さらに唾液中チロキシンの定量を目的に,内標準物質の選択,前処理法の開発も行った.
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Research Products
(4 results)