2009 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞特異的・血中滞留及び徐放型siRNAデリバリー超分子システムの構築
Project/Area Number |
20590037
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
有馬 英俊 Kumamoto University, 大学院・生命科学研究部, 教授 (50260964)
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Keywords | siRNA / デンドリマー / シクロデキストリン / 超分子複合体 / 葉酸 / ポリエチレングリコール / ドラッグデリバリーシステム / ターゲティング |
Research Abstract |
本研究の目的は、small interference RNA(siRNA)またはshort hairpin RNA発現ベクター(shRNA)に徐放性/血中滞留性/癌細胞選択性を付与する新規超分子複合体デリバリーシステムを構築することである。すなわち、本研究では、まず癌細胞特異的かっ血中滞留性を有するキャリアの構築を企図して、我々が遺伝子・siRNAキャリアとして独自に開発したPAMAMデンドリマー/α-シクロデキストリン結合体(α-CDE)にポリエチレングリコール(PEG)およびPEG化葉酸を導入したPEG-Fol-α-CDEを構築する。次に、徐放性を有するキャリアシステムの構築を目的にPEG鎖との相互作用により難水溶性の超分子複合体を形成するγ-シクロデキストリン(γ-CyD)をPEG-Fol-α-CDEに添加することにより、PEG-Fol-α-CDE/γ-CyD超分子複合体を形成について実施する。平成21年度では、我々はPEG-Fol-α-CDEに徐放性を付与することを目的に、PEG鎖と強く相互作用し、難水溶性の超分子複合体を形成すると予測されたγ-CyDとPEG化PAMAMデンドリマーとの超分子複合体を調製し、in vitroにおいてその徐放出特性について検討を行った。その際、γ-CyDの添加量や超分子複合体形成法を変化させて徐放速度の調節を行い最適な組成からなる超分子複合体の構築を行った。その結果、PEG化PAMAMデンドリマー溶液に、γ-CyD溶液を添加すると、溶液は白濁し、また赤外吸収スペクトルの結果から、この沈殿物は超分子複合体であることが確認された。また、この超分子複合体の水への溶解速度は、γ-CyD添加濃度依存的に遅延し徐放出パターンを示すことが認められた。さらに予備的検討により、PEG化α-CDEとγ-CyDもPEG化PAMAMデンドリマーの場合と同様に、超分子複合体を形成することを明らかにした。これらの結果から、γ-CyD超分子複合体は、核酸医薬の徐放出性キャリアとして機能する可能性が示唆された。
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