2009 Fiscal Year Annual Research Report
汎用型高速向流クロマトグラフ装置の開発と極性物質分離への応用
Project/Area Number |
20590040
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
四宮 一総 Nihon University, 薬学部, 准教授 (70215995)
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Keywords | 薬学 / 分析科学 / 分離分析法 / クロマトグラフィー / 極性物質 / 液-液分配 |
Research Abstract |
製作した汎用型高速CCC装置を用いて水性二相溶媒によるタンパク質の分離を行い、multilayer coil及びeccentric coilをカラムに用いて分離効率を検討した。multilayer coilはテフロンチューブ(1.0mm ID, 2.0mm OD)を円筒状ホルダー(3cm ID×5cm)に左巻き又は右巻きに巻き付けて(25 turns, 8 layers)作製した(総容量56mL)。また、eccentric coilはポリエチレンチューブ(5mm OD×5cm)にテフロンチューブ(1.0mm ID, 2.0mm OD)を左巻きに20 turns巻き付けて1 unitとし、1st layer : 12 units, 2nd layer : 18 units計30 unitsを円筒状ホルダーの周囲に巻き付け、直列に連結して作製した(総容量29.5mL)。二相溶媒に12.5%(w/w)polyethylene glycol 1000-12.5%(w/w)K_2HPO_4水溶液、標準タンパク質試料にCytochrome C(Cyt C)、Myoglobin(Myo)、Lysozyme(Lys)を用い、カラムの回転速度を1000rpmとして分離を行った結果、従来のJ型CCCの自転(forward rotation : P_<forward>)とは逆方向の自転(backward rotation : P_<backward>)では、multilayer coilの左巻き、右巻き共に固定相は全く保持されず、eccentric coilでも固定相は保持されなかった。一方、P_<forward>ではeccentric coilを反時計廻り(CCW)で回転させた結果、下層を移動相として分離度1.2(Cyt C/Myo)と1.6(Myo/Lys)、固定相保持率24.1%で3タンパク質が分離し、理論段数は446 TP(Myo)であった。また、時計廻り(CW)で回転させ、上層を移動相とすると、分離度1.1(Lys/Myo)、固定相保持率23.7%、理論段数376TP(Lys)で2タンパク質が分離した。本実験では、下層を移動相とした場合にはCWよりCCWの方が、また上層を移動相とした場合にはCCWよりCWの方が高い分離度が得られた。以上の結果から、P_<forward>ではeccentric coilにより水性二相溶媒でのタンパク質分離が可能であることがわかった。一方、P<backward>で固定相が保持されなかったのは、本装置ではP_<backward>は公転とは逆方向に同期的に自転させるため、結果的にカラムの自転による分離への効果が得られなかったためと思われる。現在、P<backward>のカラム回転機構の改良を検討中である。
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Research Products
(1 results)