2009 Fiscal Year Annual Research Report

法科学及び臨床化学に役立てる乱用薬物の迅速分析法の開発

Research Project

Project/Area Number	20590043
Research Institution	Hoshi University
Principal Investigator	斉藤貢一 Hoshi University, 薬学部, 准教授 (40386347)
Keywords	法科学 / 臨床化学 / 乱用薬物 / 迅速分析法
Research Abstract	近年、いわゆる脱法ドラッグといわれる薬物の乱用が大きな社会問題となっている。これらの脱法ドラッグの中には、規制薬物の分子構造の一部を組み替えただけの類似薬物(デザイナードラッグ)もあることから、次々と合成される薬物とその乱用実態を把握し、新たな薬物指定に向けた作業に取りかかるためには、該当する薬物の化合物を同定できる信頼性の高い分析法が要求されている。前年度までの研究において、デザイナードラッグが出現しやすい薬物として、フェネチルアミン骨格を有するMDMAなど4種およびピペラジン骨格を持つTFMPPなど7種、計11種類の薬物を測定対象として、精密質量の測定が可能な液体クロマトグラフィー/飛行時間型質量分析法(LC/TOF-MS)を駆使して、標準品なしでも迅速にこれらの乱用薬物を同定できる方法を構築した。本年度の研究では、フェネチルアミン系のエフェドリンと類似の化合物で、心筋梗塞等の健康被害の発生などが問題となっている、Citrus aurantium由来のアルカロイド(シネフリン)やプリンアルカロイド(カフェイン、テオブロミン、テオフィリン)のLC/TOF-MSによる同時分析法について検討し、市販に流通している製品中の分析を行い、その品質評価を行った。これらの結果から、本法は法科学分野において要求される薬物の検出・同定に応用することが可能であると共に、健康食品等に使われている場合には食品の安全性を確保する上で有用であり、健康被害の防止に寄与するものと期待される。