2010 Fiscal Year Annual Research Report
法科学及び臨床化学に役立てる乱用薬物の迅速分析法の開発
Project/Area Number |
20590043
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
斉藤 貢一 星薬科大学, 薬品分析化学教室, 准教授 (40386347)
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Keywords | 法科学 / 救急医療 / 乱用薬物 / 迅速分析法 / 固相分散抽出法 / 遠心ろ過フィルター / 向精神薬 / 覚せい剤 |
Research Abstract |
薬物の乱用は社会的に大きな問題となっており、乱用によって中毒症状を呈した患者が救急搬送されるケースがある。そのため、救急医療や法科学分野において、中毒や乱用の原因物質の同定・定量を行うために迅速かつ信頼性の高い分析法の確立が求められている。生体試料分析において、試料中から微量の測定対象物質を効率よく抽出、濃縮および精製するための前処理は極めて重要である。しかし、従来汎用されている固相抽出(SPE)法は通液速度の変動が回収率を低下させることや、開放系での処理のため感染性試料の実験者への曝露が危惧されるといった様々な問題点がある。 本年度の研究では、向精神薬のベンゾジアゼピン系薬物やリタリン、覚せい剤のメタンフェタミンなどを測定対象薬物とし、新規前処理法として迅速かつ簡便な前処理が可能な固相分散抽出(SPDE)法を開発した。その際、SPDE法の操作簡便化を目的に、遠心ろ過フィルターを発明(実用新案取得)し、実験に用いた。SPDE法では微粒子である固相を液体試料中に分散させることで、固相と液相間の分配平衡が瞬時に到達し、迅速な抽出・クリーンアップが可能となり、SPE法の約半分の時間で前処理が可能となった。また、開発した遠心ろ過フィルターの使用により、より閉鎖系での処理が可能となり、SPE法における実験者への曝露は低減された。 これらの結果から、生体試料分析の多検体処理に際して、本研究で開発したSPDE法は従来のSPE法に比べて迅速な前処理が期待され、迅速な対応が求められる救急医療や処理検体数の多い法科学分野での有用性が示唆された。
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