2008 Fiscal Year Annual Research Report
シスプラチン耐性がんに有効な複核白金錯体の多様な核酸認識
Project/Area Number |
20590045
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
千熊 正彦 Osaka University of Pharmaceutical Sciences, 薬学部, 学長 (50025699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 睦弘 大阪薬科大学, 薬学部, 講師 (90186974)
佐藤 卓史 大阪薬科大学, 薬学部, 助教 (80257899)
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Keywords | シスプラチン / 白金錯体 / 複核錯体 / 抗がん剤 / 非共有結合性相互作用 / 核酸 / 分子認識 |
Research Abstract |
本研究の目的は、シスプラチン耐性がん細胞の増殖抑制能をもつ複核白金錯体と核酸(DNA)との間に生じる共有結合性相互作用および非共有結合性相互作用の詳細を明らかにして、後者の制がん活性への寄与について考察し、より優れた白金錯体の分子設計を行うことである。平成20年度は以下の実験を行った。 1. 架橋配位子ピラゾールの誘導体を合成し、新規複核白金錯体を調製し、制がん活性を検索した。ピラゾールの4位にアルキル基をもつ錯体は、親錯体より有効であった。 2. 白金錯体のDNA鎖間架橋形成能を評価する目的で、白金錯体と反応させた2本鎖DNAを熱変性させ、生じた1本鎖および2本鎖DNAをアガロース電気泳動法で分析する計画をたて、まず種々の条件を詳細に検討した。ピラゾール架橋複核白金錯体の鎖間架橋形成能を評価した結果、鎖間架橋をほとんど形成せず、鎖間架橋を形成するシスプラチンとはDNAとの相互作用様式に違いがあるものと考えられた。 3. 生理的pH領域において、牛胸腺DNAの溶液に複核白金錯体を加えて、直ちに円二色スペクトルを測定すると、白金量が増えるにつれて、270nm付近の正のコットン効果が減少するが、これに食塩水を加えると、同コットン効果は増加し、元のスペクトルに戻る。この実験から複核白金錯体とDNAの速い反応は、静電的相互作用が関与する非共有性相互作用であると推定される。 4. 今後、等温滴定カロリメトリー法によって、DNAと白金錯体との反応(非共有性相互作用)の熱力学的パラメーターを測定して、反応の解明に努め、制がん活性に及ぼす非共有性相互作用の寄与を明らかにしたい。
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Research Products
(4 results)