2009 Fiscal Year Annual Research Report
シスプラチン耐性がんに有効な複核白金錯体の多様な核酸認識
Project/Area Number |
20590045
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
千熊 正彦 Osaka University of Pharmaceutical Sciences, 薬学部, 学長 (50025699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 卓史 大阪薬科大学, 薬学部, 講師 (80257899)
齊藤 睦弘 大阪薬科大学, 薬学部, 講師 (90186974)
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Keywords | シスプラチン / 白金錯体 / 複核錯体 / 抗がん剤 / 非共有結合性相互作用 / 核酸 / 分子認識 |
Research Abstract |
本研究の目的は、シスプラチン耐性がん細胞の増殖抑制能をもつ複核白金(II)錯体と核酸(DNA)との間の共有結合性相互作用および非共有結合性相互作用の詳細を明らかにして、より優れた白金錯体の分子設計を行うことである。平成21年度に得た結果のうち重要なものを以下に記した。 1.昨年度に引き続き、架橋配位子ピラゾールの誘導体を合成し、制がん活性の検索を行った。ピラゾールの4位に導入したアルキル基の炭素鎖を増加させると制がん活性が増加したが、同時に毒性も増加する傾向が認められた。 2.新規白金錯体の共有結合(配位結合)に基づく塩基認識能を検索するために、数種のモノヌクレオチド(5'GMPなど)との反応液(本反応は極めて遅く、反応液を加温して24時間放置した)について、HPLC分析を行い、5'GMPが最も速く結合することを認めた。 また、白金錯体存在下で、超らせん環状プラスミドDNAのアガロース電気泳動を行ったところ、巻き戻しが生じており、DNAの構造が変化していると考えられた。 3.円二色スペクトルの測定により、DNAは白金錯体の共存下で、B型からC型へ変化することを認めた。また、スペクトルの変化は反応直後から認められるので、白金錯体がDNAと共有結合を行う前に生じる反応に基づくと推察された。 4.白金錯体とDNAとの反応に対して等温滴定カロリメトリー法を適用するための条件の検討を行った。次年度には、本法を適用して反応の熱力学パラメーターを測定する予定である。 以上の結果、新規白金錯体はDNAとの間で、速い非共有結合性相互作用と遅い共有結合性相互作用を行い、DNAの構造を変化させることを認めた。これらの反応が制がん活性にどの程度寄与するのかについて考察を加えたい。
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Research Products
(12 results)