2010 Fiscal Year Annual Research Report
シスプラチン耐性がんに有効な複核白金錯体の多様な核酸認識
Project/Area Number |
20590045
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
千熊 正彦 大阪薬科大学, 薬学部, 学長 (50025699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 卓史 大阪薬科大学, 薬学部, 講師 (80257899)
齊藤 睦弘 大阪薬科大学, 薬学部, 講師 (90186974)
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Keywords | シスプラチン / 白金錯体 / 複核錯体 / 抗がん剤 / 非共有結合性相互作用 / 核酸 / 分子認識 |
Research Abstract |
(1) ピラゾールあるいはアルキルジアミンを架橋配位子とする白金(II)複核錯体をそれぞれいくつか合成し、それらの制がん活性を比較検討したが、前者の活性の方が大きかった。以後、本研究では、ピラゾール架橋型錯体を主として用いた。 (2) ピラゾール架橋型錯体と1本鎖あるいは2本鎖プラスミドDNAとの反応をアガロース電気泳動法により検討した、その際、用いる緩衝液の組成を詳細に比較検討した結果、EDTA-トリス過塩素酸系緩衝液を用いることにした。同一pHにおいて、緩衝液の濃度が高くなると白金錯体とDNAとの反応性は低下することを認めた。 (3) 複核錯体存在下で核酸の円二色スペクトルを種々のイオン強度において迅速観測した結果、カチオン濃度が高くなると反応が阻害されることを認めた。本反応には、静電的相互作用が含まれていることを明らかにすることができた。 (4) 静電的相互作用を定量的に解析するために、等温滴定カロリメトリー法により、核酸と白金錯体との間の平衡反応(非共有結合性相互作用)の熱力学的パラメーターを迅速に測定し、エンタルピー変化(△H)およびエントロピー変化(△S)の値を算出した。 (5) 12塩基対の合成オリゴヌクレオチドd(CGCGAATTCGCG)_2と複核白金錯体との複合体のX線結晶構造解析を行い、DNAのリン酸基が、白金錯体のア(ン)ミンを配位子と相互作用することを初めて明らかにすることができた(X線結晶構造解析の研究は連携研究者の米田誠治が主導して行ったものである)。 (6) 白金錯体の制がん活性が、従来説明されているように配位結合に基づいているのか、あるいは本研究で明らかにした非共有結合性相互作用も関与しているのかを明らかにすることは、今後の白金錯体の開発研究を進めるために極めて重要である。660字
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Research Products
(9 results)