2008 Fiscal Year Annual Research Report
シクロデキストリン包接を基盤とする準安定結晶の選択的調製とその機構解明
Project/Area Number |
20590050
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
平山 文俊 Sojo University, 薬学部, 教授 (90094036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庵原 大輔 崇城大学, 薬学部, 助手 (40454954)
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Keywords | シクロデキストリン / 結晶多形 / 準安定結晶 / 包接複合体 / 溶出挙動 |
Research Abstract |
本研究では、経口糖尿病薬クロルプロパミド(CPM)の結晶化に対するシクロデキストリン(CyDs)の影響を詳細に検討し、下記の結果を得た。 1 CPM単独を水から再結晶すると安定形結晶Form Aが得られた。天然α-,β-,γ-CyDs、2-ヒドロキシプロピル-β-CyD添加の場合も同様に安定形Form A結晶が析出した。 2 一方、ジメチル-β-CyDあるいは2-ヒドロキシブチル-β-CyDを添加すると、CPMの準安定結晶であるForm IIあるいはForm III結晶が析出し、その効果はジメチル-β-CyDに比べて2-ヒドロキシブチル-β-CyDの方が大きかった。 3 2-ヒドロキシブチル-β-CyD存在下におけるForm II, Form III, Form A結晶化の時間推移、結晶化速度のCyD濃度依存性などを詳細に検討した結果、CPMは準安定形Forms II, IIIを経由して安定形Form Aに結晶化することが明らかとなった(CPM溶液→Form II→Form III→Form A)。これらの転移は溶液媒介性転移機構に従って進行した。 4 その際、2-ヒドロキシブチル-β-CyD高濃度条件下では最も不安定なForm II結晶が得られ、低濃度条件下では2番目に不安定なForm III結晶が得られた。すなわち、2-ヒドロキシブチル-β-CyD高濃度下ではForm II→Form IIIへの転移が抑制され、低濃度下ではForm III→Form Aの転移が抑制されたものと推定された。 これらの結果は、2-ヒドロキシブチル-β-CyD濃度を調節することにより、不安定な準安定結晶Form IIあるいはForm IIIを選択的に調製可能なこと示すものであり、溶液媒介性転移の制御剤としての2-ヒドロキシブチル-β-CyDの有用性が示唆された。
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Research Products
(8 results)