2009 Fiscal Year Annual Research Report
ユニークな組織発現・細胞内局在を持つM1アミノペプチダーゼの生理機能の解明
Project/Area Number |
20590057
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
服部 明 Kyoto University, 薬学研究科, 准教授 (50300893)
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Keywords | アミノペプチダーゼ / M1ファミリー / プロテアーゼ / 部位特異的変異導入法 / 基質特異性 / Laeverin |
Research Abstract |
Laeverinは胎盤の絨毛膜外栄養細胞(EVT)に特異的に発現するM1アミノペプチダーゼである。これまでのリコンビナント Laeverinを用いた解析の結果、本酵素はアミノペプチダーゼ阻害剤であるベスタチンに高感受性のロイシンアミノペプチダーゼであり、他のM1アミノペプチダーゼとは異なる酵素学的性状を持つことを明らかにしてきた。そこで、本年度は、 Laeverinの特異な酵素学的性状が如何に発現するかについて生化学的な解析を行った。M1アミノペプチダーゼファミリー各酵素の一次構造中には、基質ペプチドの認識に重要であるエキソペプチダーゼモチーフ(GAMEN配列)が存在する。ところが、ヒトLaeverinでは本モチーフを構成するGlyがHisべと分子進化の過程で置換されており、HAMEN配列となっている。そこでヒトLaeverinのHis-379残基の酵素活性発現における役割を、部位特異的変異導入法を用いて作製した変異体酵素を利用して解析した。その結果、Phe変異体ヒトLaeverinでは、野生型酵素の酵素学的性状との差異は認められなかったが、Gly変異体ヒトLaeverinでは、酵素触媒数・基質親和性の低下が認められ、その酵素触媒活性が著しく低下していた。また、ヒトLaeverinの良い基質であるEndokinin Cの分解活性やベスタチンに対する感受性においても、Gly変異体では著しく低下していた。これらの結果から、ヒトLaeverinのHis-379残基は本酵素の酵素学的性状の発現に極めて重要な役割を果たしていることが明らかとなった。さらに、コンピュータシミュレーションの結果、His-379残基のGly残基への置換はヒトLaeverinの酵素触媒ポケットの構造変化を生じ、その結果として著しい酵素学的性状変化が認められた可能性が強く示唆された。
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Research Products
(4 results)