2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590060
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
櫨木 修 広島大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (80142751)
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Keywords | shRNA / PTEN / VPS34 / RAW264.7 / phagocytosis / PIKFYVE / PtdIns(3)P / PI3K-CIIα |
Research Abstract |
本研究は、種々のイノシトールリン脂質代謝酵素に特異的なshRNAを安定発現する一群の細胞クローンを作成することにより、これらの酵素の機能ネットワークについての基礎情報をえる一方、信頼に足る欠損細胞バンクを構築することを目的としており、前年度までに、RAW264.7細胞及びRBL2H3細胞を親細胞として一群の欠損細胞株の作成を行った。本年度は、IgGでオプソニン化された粒子が貪食を受け、最終的にリソソームの分解システムまで運搬される過程におけるPtdIns(3,4,5)P3,PtdIns(3)Pの動態を、RAW264.7細胞由来の全ての欠損細胞を用いて解析した。この結果PtdIns(3,4,5)P3の合成・分解には、それぞれ、p110α・PTENが中心的な役割をしており、他のアイソザイムの寄与は比較的小さいことが認められた。また、PtdIns(3)Pの合成には主にVPS34が機能しているが条件によってはPI3K-CIIαも一部関与していること、さらに、産生されたPtdIns(3)PはPTENによる脱リン酸化とPIKFYVEによる5位リン酸化によって大部分が代謝されていることなどの新規の知見をえた。意外なことにPIKFYVEの制御サブユニットであるVAC14の欠損株ではPtdIns(3)Pの代謝変化はほとんど認められず、他の何らかの制御因子の存在が示唆された。一群の細胞に蛍光プローブを一過的に発現させ、互いの差を比較するという上記の解析は、本細胞バンクの特質を生かしたものと言える。また、本年度の成果は、食細胞による異物処理機構およびこれに対して抵抗性をもつ微生物の回避機構を理解する上で重要な基礎的概念を与えるものと期待される。
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Research Products
(4 results)