2008 Fiscal Year Annual Research Report
カポシ肉腫関連ウイルスに対する分子標的治療法の開発研究
Project/Area Number |
20590068
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
野口 耕司 Keio University, 薬学部, 准教授 (80291136)
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Keywords | KSHV / ヘルペスウイルス / がん / 分子標的 / 抗がん剤 / 感受性 / NF-KappaB / cyclin |
Research Abstract |
カポシ肉腫関連ウイルス(Kaposi's sarcoma-associated virus/KSHV、またはヒトヘルペスウイルスー8/HHV-8)は、1994年に同定された比較的新しいガンマヘルペスウイルスである。カポシ肉腫関連ウイルスに対する有効な新しい抗ウイルス薬治療法の確立というのは、実際の患者に有益な研究課題と考えられ、本研究課題では、カポシ肉腫関連ウイルスの遺伝子発現による薬剤感受性の変化のプロファイル作成と、その情報を基盤にしてカポシ肉腫関連疾患に有効な薬剤の探索する実験を計画した。 平成20年度では、カポシ肉腫関連ウイルスのゲノムDNAをBCBL1細胞から抽出して、そのDNAから、病原性に関わる因子、LANA、 v-cyclin、 vFLIP、 vGPCRの遺伝子に人工的にFLAG-HAタグを付加してPCRクローニングし、それをG418、 puromycin, DHFR, Zeocinなど異なる選択マーカーとのデュアル発現プラスミドにそれぞれサブクローニングする。この発現プラスミドをHEK293細胞にトランスフェクションして安定導入発現細胞株を樹立した。一般にカポシ肉腫関連ウイルス感染細胞では潜伏感染時には、LANAを中心として幾つかの遺伝子が共発現している。従って、ウイルス感染細胞の細胞生物学的環境に近づけるため、それぞれの遺伝子単独導入細胞株の他にも、LANAを基本としてそれぞれの遺伝子2,3種類の組合せ(LANA-v-cyclin, LANA-vFLIP)で共発現する安定導入細胞株の作成も試みた。しかしながら、vGPCRを安定発現するHEK293細胞株は樹立できたものの、その発現量が低く、活性化していても細胞にあまり変化が認められないことから、vGPCR発現系に関しては、さらに綿密な検討が必要だと思われた。また、LANAとvFLIPを共発現させる試みは何回か行ったが、細胞毒性がでているようであった。その原因については今後の課題と思われる。今後は、今年度に樹立できたHEK293のLANA, v-cyclin, vFLIP, LANA-v-cyclin発現細胞株を用いて抗がん剤に対する感受性変動、それに関するシグナル伝達系の変動を検索する予定である。
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Research Products
(5 results)