2008 Fiscal Year Annual Research Report
時計遺伝子BMAL1の機能欠損によるメタボリックシンドローム発症とそのメカニズム
Project/Area Number |
20590071
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
榛葉 繁紀 Nihon University, 薬学部, 准教授 (20287668)
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Keywords | 脂肪細胞 / 体内時計 / メタボリックシンンドローム |
Research Abstract |
Brain and Muscle Arnt like protein 1 (BMAL1)は、生体のサーカディアンリズムを制御する転写因子であり、ヒトSNP解析によりII型糖尿病ならびに高血圧発症との関連が示されている。またBMAL1はほぼ全身に発現し、各臓器における代謝活性の制御に関与することを我々は報告した。そこで、本研究では、肝臓での代謝調節制御におけるBMAL1の役割を明らかにする目的で、肝臓特異的BMAL1欠損(L-BMAL1 KO)マウスを作製し、その解析を行った。 肝臓における糖・脂質代謝に関連酵素の遺伝子発現量を検討した結果、L-BMAL1 KOマウス肝臓において、絶食時において発現変化が認められるinsulin receptor substrate-2、glucose6-phosphatase、ならびにlipoprotein lipase mRNAの発現量の増加が示された。一方で脂肪酸合成に関わる脂肪酸合成酵素ならびにstearoyl-CoA desaturase 1 mRNAの発現量がL-BMAL1 KOマウスではコントロールマウスの約50%にまで低下した。またL-BMAL 1 KOマウス肝臓におけるグリコーゲン含量は、コントロールマウスに比較して高値を示した。これらの結果はL-BMAL1 KOマウス肝臓において脂肪酸合成関連酵素の発現低下に伴うエネルギー不足を、LPLの過剰発現によるトリグリセリドのde novo合成促進ならびにグリコーゲン合成の促進により賄うことを示唆している。すなわちBMAL1は肝臓においてエネルギー貯蔵のバランスの制御に関与することが示唆された。
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Research Products
(28 results)