2008 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドロームの進展要因となるHDLの産生抑制と肝脂肪蓄積の発現機構
Project/Area Number |
20590072
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
秋葉 聡 Kyoto Pharmaceutical University, 薬学部, 教授 (70231826)
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Keywords | メタボリックシンドローム / 粥状動脈硬化症 / 非アルコール性脂肪肝 / ホスホリパーゼ / アディポサイトカイン |
Research Abstract |
メタボリックシンドロームの発症から粥状動脈硬化症や非アルコール性脂肪肝(NAFLD)への進展機構を解明するうえで,炎症反応を担うIVA型ホスホリパーゼA_2(PLA_2)がメタボリックシンドロームの進展要因であるHDLの低下および肝での脂肪蓄積に関与する可能性について高脂肪食を投与したIVA型PLA_2欠損マウスを用いて検索した。 1. 高脂肪食に伴う粥状動脈硬化巣の形成とHDLの低下へのIVA型PLA_2の関与 野生型およびIVA型PLA_2欠損マウスに普通食またはコール酸含有高脂肪食を投与したところ,野生型では高脂肪食に伴い大動脈基部においてプラークが形成され,血清中のHDLに由来したコレステロール量,アポA-I量,アディポネクチン(抗動脈硬化作用を有する)量が減少していたが,欠損型ではいずれの変化も軽減されていた。 2. 高脂肪食に伴う肝での脂肪蓄積へのIVA型PLA_2の関与 野生型マウスに高脂肪食を投与した後,肝組織切片を観察したところ,普通食投与に比し肝細胞中の空胞化が見られ,肝組織中のトリグリセリド量が増大していたが,IVA型PLA_2欠損型ではこれらの変化は軽減されていた。いずれの条件下でも血中のアディポサイトカイン類の変動は見られなかったが,プロスタグランジンE_2量は欠損型で有意に低値であった。 これらの結果は,高脂肪食に起因するメタボリックシンドロームから粥状動脈硬化症やNAFLDへの進展過程にIVA型PLA_2が何らかの機構を介して関与していること示唆しており,本酵素がこれら一連の疾患における治療標的分子の候補となる可能性が高いと推察された。
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