2010 Fiscal Year Annual Research Report
マンナン結合タンパク質とマトリックスメタロプロテアーゼの相互作用とその生理的意義
Project/Area Number |
20590074
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
川嵜 伸子 立命館大学, 総合理工学研究機構, 教授 (70077676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川嵜 敏祐 立命館大学, 総合理工学研究機構, 教授 (50025706)
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Keywords | マンナン結合タンパク質 / メプリン / マトリックスメタロプロテアーゼ / レクチン / 糖鎖 / マンナン結合レクチン / 補体活性化 / 腎虚血再灌流 |
Research Abstract |
本研究では血清マンナン結合タンパク質(MBP)と、MBPの生理的条件下での新規内在性リガンドとして腎臓に見出された、高度に糖鎖付加されたマトリックスメタロプロテアーゼであるメプリンとの相互作用を解析し、その生理的意義を解明する。 前年度までの研究で、in vitroにおいてMBPとメプリンが相互作用することで効果的に補体系を活性化することを明らかにした。そこで、今年度は、虚血性腎障害のモデルとして用いられる腎虚血再灌流(I/R)マウスを作製し、腎障害にレクチン経路を介する補体活性化が関与しているかどうかを検討した。 1. I/Rモデルマウスの腎臓の組織切片を用いて、メプリン、MBP、補体成分の局在を免疫組織染色により調べた。メプリンは、正常な状態で発現がみられる皮質のみならず、髄質においても観察された。また、近位尿細管の形態変化が観察された。これらは損傷を受けた近位尿細管細胞の刷子縁が脱落し、下流に流されたためであると考えられた。また、MBPおよび補体成分C3は、I/Rマウスにおいて、主に皮質の近位尿細管に、一部が髄質に観察され、これらの一部がメプリンと共局在していた。この結果より、in vivoにおいてもメプリンとMBPが相互作用し、補体系を活性化することが示唆された。 2. I/Rモデルマウスの腎臓における、MBP mRNA発現量の変化についてリアルタイムPCRを用いて調べた。コントロールであるshamマウス(開腹後、腎動脈のクランプをしないで閉じる)とI/Rマウスの間でMBP mRNAの発現量に差異は認められなかった。したがって、I/Rによる腎臓におけるMBPタンパク質の量の増加は腎臓におけるMBPの発現量の増加や糸球体を素通りしたMBPが尿細管に沈着したことによるのではなく、近位尿細管周辺に張り巡らされた血管から流出したMBPが尿細管に沈着したことによると推定された。
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Research Products
(8 results)