2009 Fiscal Year Annual Research Report
上皮増殖因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤に対する耐性シグナルの解析
Project/Area Number |
20590077
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
伊藤 文昭 Setsunan University, 薬学部, 教授 (80111764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 和人 近畿大学, 医学部, 教授 (10208134)
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Keywords | 上皮増殖因子受容体 / チロシンキナーゼ阻害剤 / ゲフィチニブ / MKP-1 / 抗がん剤 / 抗がん剤耐性 / Bim |
Research Abstract |
上皮増殖因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤(ゲフィチニブ、エルロチニブ)は、10-20%の非小細胞肺がんに対してがん縮小効果を示すが、その後、がん細胞は耐性を示すようになり臨床上の大きな問題となっている。本研究では、EGFR遺伝子のExon 19に15塩基の小欠損を持ち、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤に高感受性のヒト非小細胞肺がん細胞PC-9から、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(AG1478)に耐性の株を単離し、耐性機構の解析をおこなった。親株のPC-9細胞では、AG1478処理により、mitogen-activated protein kinase phopshatase-1(MKP-1)の発現が減少すると共に、JNKのリン酸化が上昇した。一方、耐性株では、MKP-1の発現が上昇しており、AG1478処理後もその発現レベルは依然として高かった。また、JNKのリン酸化の上昇も見られなかった。PC-9細胞をAG1478で処理した後、全細胞抽出液を用いてBcl-2ファミリータンパク質(Bcl-2、Bcl-xL、Bcl-w、Mcl-1、Bim、Bad)の発現を調べたところ、Bimのみ発現量が増加し、他のタンパク質の発現量は変化しなかった。次に、PC-9および耐性細胞をAG1478で処理後、ミトコンドリア画分を調製しBim量を調べたところ、PC-9細胞では量の増加が認められたが、耐性株では増加することはなかった。以上の結果より、PC-9細胞をEGFRチロシンキナーゼ阻害剤で処理するとMKP-1の発現が減少することによりJNKの活性化が起き、Bimのミトコンドリア膜への集積によりアポトーシスが引き起こされるが、耐性株ではまだ解明できていない原因によりMKP-1の発現上昇が起きており、その結果、耐性を獲得したと考えられる。
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Research Products
(15 results)