2008 Fiscal Year Annual Research Report
閉経後認知障害とアルツハイマー病との関連解析による認知症発症機序の解明
Project/Area Number |
20590083
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田熊 一浩 Osaka University, 薬学研究科, 准教授 (90289025)
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Keywords | アルツハイマー病 / 更年期障害 / エストロゲン / 海馬 / ミトコンドリア / コリン作動性神経系 / 神経変性 |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)は,発症初期のコリン作動性神経系の機能低下ならびにアミロイドβ蛋白(Aβ)を構成成分とする老人斑の出現を病理学特徴とする進行性の神経変性疾患で,認知症の主要原因疾患であることが知られている.また,閉経を境に女性では認知障害の発症増加が認められ,女性の孤発性AD発症率は男性より高いことが示されている.しかしながら,閉経後認知障害およびADともに発症機序の詳細は未だ不明であり,著効な治療法・治療薬は見いだされていない.これらの知見を踏まえて,本申請課題では,我々のグループが独自に開発した閉経後疾患モデル動物ならびにADモデル遺伝子改変動物を用いて,AD関連分子の変動と認知障害発現の関連について行動薬理学的ならびに分子薬理学的手法を用いて複合的かつ総合的に解析を行い,認知症発症に関わる分子基盤を解明することを目的とする実験計画を立案した.平成20年度は,(1)閉経後疾患モデル動物ならびにADモデル遺伝子改変動物におけるミトコンドリア機能変化の解析と(2)培養細胞における閉経後認知障害ならびにADに関わるシグナル分子の発現解析を計画していたが,本計画の鍵となるADモデル遺伝子改変動物の繁殖状況が予定通りに進まず,やむなく計画の変更を行った.変更実施した計画において,閉経後疾患モデルマウスの認知機能障害(恐怖条件付け学習障害)の発現に,脳海馬CA3領域のコリン作動性神経系の機能低下が密接に関わることを明らかとし,本障害がAD治療薬として臨床応用されているドネペジルおよびガランタミンによって改善されることを認めた(投稿準備中).
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Research Products
(4 results)