2008 Fiscal Year Annual Research Report
膵β細胞のCa依存性アポトーシスに関わる分子間ネットワークの解析と治療標的の探索
Project/Area Number |
20590085
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
石川 智久 University of Shizuoka, 薬学部, 教授 (10201914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 雪子 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (00381038)
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Keywords | 薬理学 / 膵β細胞 / シグナル伝達 / アポトーシス / 過酸化水素 / ストア作動性カルシウム流入 / IP_3受容体 / アネキシンV |
Research Abstract |
2型糖尿病における膵β細胞の機能障害の原因の一つとして、発症の初期段階から認められるβ細胞のアポトーシスの増加が挙げられる。この機序の解明は、β細胞の保持を標的とした糖尿病の予防や治療戦略の立案に繋がる。本研究は、酸化ストレスによるβ細胞アポトーシスの誘導メカニズムにおけるCa^<2+>の役割を明らかにすることを目的とした。実験にはラット由来膵β細胞株INS-1を用い、アポトーシスはAnnexin V染色法を用いたフローサイトメトリーにより、また細胞質Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]_i)はfuraPE-3を用いた画像解析により測定した。 INS-1細胞を100μMH_2O_2で18時間処置することにより、アポトーシスが誘導された。このアポトーシスは、細胞質Ca^<2+>キレート剤BAPTA/AM、IP_3作動性Ca^<2+>チャネルおよびカチオンチャネルの阻害薬2-APB、およびIP_3作動性Ca^<2+>チャネル阻害薬xestospongin Dにより完全に抑制された。しかし、H_2O_2処置後30分からBAPTA/AMや2-APBを作用させても、アポトーシスは抑制されなかった。一方、カチオンチャネル阻害薬SKF-96365やGd^<3+>はアポトーシスを部分的に抑制するに留まった。また、H_2O_2処置により、処置後約30分で終息する一過性の[Ca^<2+>],上昇と、約30分後から徐々に上昇する持続性の[Ca^<2+>]_i上昇の2相性の反応が惹起された。この初期相の[Ca^<2+>]_i上昇は、IP_3受容体を介した小胞体からのCa^<2+>遊離とそれに伴って生じるストア作動性Ca^<2+>流入に起因することが示された。以上より、膵β細胞株INS-1において、H_2O_2により、IP_3受容体を介したCa^<2+>遊離とストア作動性Ca^<2+>流入による一過性の[Ca^<2+>]_i上昇が惹起され、この反応初期の[Ca^<2+>]_i上昇がアポトーシスのトリガーとなることが示唆された。
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Research Products
(16 results)