2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳傷害時におけるPEDFの役割の解明、及びその臨床応用に関する基礎的検討
Project/Area Number |
20590089
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
矢部 武士 Kitasato University, 大学院・感染制御科学府, 講師 (40239835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 陽城 北里大学, 大学院・感染制御科学府, 教授 (60096691)
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Keywords | PEDF / 神経保護作用 / 脳虚血 / グルタミン酸毒性 / グリア細胞 |
Research Abstract |
1.神経変成疾患モデル動物を用いたin vivoでのPEDFの作用の解析 これまでPEDFの中枢神経系における神経保護作用は、初代培養を用いた実験系により評価されており、in vivoでの神経保護効果については現在まで検討されていない。そこでPEDF組換えアデノウイルス(Ad. PEDF)による脳内PEDF過剰発現系を用いて、PEDFがin vivoにおいても神経保護作用を有するか否かの検討を行い、以下のことを明らかとした。 (1)PEDFを過剰発現させた動物では、一過性脳虚血後の梗塞体積や脳浮腫率が低下するとともに、変性ニューロン数の減少が認められた。(2)Ischemic core領域では、アストロサイトやオリゴデンドロサイトの変成が観察されたが、PEDFを過剰発現させた動物では変成の程度が強く減弱された。(3)PEDFの過剰発現は、6-hydroxydopamineによる黒室ドーパミンニューロンの変成に対して影響を及ぼさなかった。 2.脳内PEDF産生細胞の同定 抗PEDF特異抗体を用いた免疫組織化学的解析、及びIn situ hybridizationを用いた解析から、正常ラット脳におけるPEDF産生細胞は主にニューロンであることが明らかとなった。また中大脳動脈閉塞(MCAO)による脳虚血の負荷やカイニン酸の脳内投与などにより傷害を受けた脳では、反応性アストロサイトで強い発現誘導が観察された。一方、マイクログリアやオリゴデンドロサイトでは正常脳、傷害脳のいずれにおいても発現は観察されなかった。
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