2009 Fiscal Year Annual Research Report
網膜血管の恒常性維持機構の分子基盤解明と新規緑内障治療薬開発への応用
Project/Area Number |
20590090
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
中原 努 Kitasato University, 薬学部, 准教授 (10296519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 麻美 北里大学, 薬学部, 助教 (80453504)
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Keywords | 薬理学 / 血管生物学 / 微小循環 |
Research Abstract |
本年度は「網膜虚血・再灌流による網膜血管の構造・機能的変化」の分子基盤を明らかにするための検討を行い、次のような成果を得た。 (1)NMDA硝子体内投与誘発網膜神経傷害モデルにおける網膜血管の構造・機能変化:網膜虚血・再灌流による網膜神経傷害にNMDA受容体を介する経路が重要な役割を演じている。そこで、NMDA硝子体内投与誘発網膜神経傷害モデルにおいて検討を行った。その結果、虚血・再灌流モデルに比べると軽度ではあるが、網膜血管の構造・機能が障害されることを見出した。NMDAは、網膜神経に対して直接影響を及ぼすので、網膜血管の構造・機能維持に網膜神経が重要な役割を演じていることが示唆された。 (2)網膜血管の構造的変化におけるミクログリアの役割:網膜虚血・再灌流およびNMDA硝子体内投与誘発網膜神経傷害モデルにおいて、網膜血管傷害が誘導されるので、両モデルの網膜におけるミクログリアの活性化と分布について検討した。その結果、網膜神経傷害に先行して活性化されるミクログリアの一部は、内皮細胞マーカー(RECA)やペリサイトマーカー(NG2)を発現することを見出した。これらの細胞は、血管系に対して何らかの影響を与えている可能性が示唆された。 (3)網膜血管の構造的変化におけるTGF-βの役割:正常ラットの硝子体内にTGF-β阻害薬(SB431542)を投与しても網膜血管に対する影響は現れなかったが、網膜虚血・再灌流およびNMDA硝子体内投与誘発網膜神経傷害モデルラットの硝子体内に投与すると血管障害が抑制される傾向が認められた。従って、網膜神経傷害時に産生されるTGF-βが血管傷害に関与している可能性が示唆された。
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