2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管タンパク質のチロシンリン酸化に着目した脳血管障害の分子基盤解明と治療戦略
Project/Area Number |
20590091
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
高木 教夫 Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 薬学部, 准教授 (50318193)
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Keywords | 脳虚血 / 脳血管 / チロシンリン酸化 / チロシンキナーゼ / 血液脳関門 / タイトジャンクション / Occludin |
Research Abstract |
脳梗塞後の脳血管を標的とした研究は少ない.脳毛細血管に存在するタイトジャンクションタンパク質occludinのチロシンリン酸化は血液脳関門機能の制御に深く関与していると考えられている.本研究では脳毛細血管のタンパク質,とりわけ血液脳関門の機能に必須なoccludinに着目し,occludinのチロシンリン酸化と梗塞巣形成との関連をチロシンキナーゼ阻害薬PP2を用いてin vivo脳梗塞モデルで検討した. 平成20年度研究では,血液脳関門機能を解析する目的でFITC-albuminで脳内を灌流し,血管外へのFITC漏出領域を測定した.ラット脳から毛細血管を既報の方法で単離し,チロシンキナーゼの標的として脳毛細血管のタンパク質occludinに着目し,免疫沈降法でそのチロシンリン酸化を解析した. チロシンキナーゼ阻害薬PP2を脳梗塞後に静脈内投与すると,梗塞巣が縮小した.さらに,脳梗塞後に著しく増加したFITC漏出領域はPP2の投与によって抑制された. 次に,単離脳毛細血管を用い,血液脳関門タンパク質occludinのチロシンリン酸化に及ぼすPP2の効果を検討した.その結果,脳梗塞後に顕著に上昇するoccludinのチロシンリン酸化はPP2の投与により抑制された.同時に脳梗塞後の脳毛細血管で活性型チロシンキナーゼsrc量は増加し,PP2投与はその増加を抑制した. 以上,平成20年度の研究では血液脳関門の破綻とその後の梗塞巣拡大の一部に,occludinのチロシンリン酸化上昇が寄与していることを明らかにした.これらの結果より,本研究は脳梗塞急性期の治療ターゲットの一つの可能性として,脳毛細血管のチロシンリン酸化occludinを提示した.
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