2010 Fiscal Year Annual Research Report
血管平滑筋の異型β受容体:表現型の可塑性と交感神経支配の関連性の検討
Project/Area Number |
20590092
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
田中 芳夫 東邦大学, 薬学部, 教授 (60188349)
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Keywords | β-アドレナリン受容体 / 異型β-アドレナリン受容体 / β_3-アドレナリン受容体 / 血管平滑筋 / 腸間膜動脈 / プロプラノロール / ブプラノロール / 交感神経除神経 |
Research Abstract |
β-アドレナリン受容体(β-受容体)は、現在、β_1-β_3の少なくとも3つのサブタイプに分類されている。β-受容体は、血管平滑筋にも発現しており、その弛緩機能調節に重要な役割を担っていると考えられている。本研究では、異型β-アドレナリン受容体(プロプラノロール非感受性β-受容体、β_3受容体)に着眼し、新しい薬理学的性質を有する異型β-受容体の探索と同定を目指した基礎的検討をラット腸間膜動脈にて行い、以下の新知見を得た。 1 Wistar系雄性ラットに6-ハイドロキシドパミン(6-OHDA)を腹腔内投与することにより、交感神経の化学的除神経を施したモデルラットを作製した。6-OHDA処置ラットから摘出した腸間膜動脈標本では、電気刺激による交感神経の興奮を介した収縮反応が消失していたこと、α_1-受容体刺激による収縮反応が顕著に増強されていたことから、交感神経の除神経が適切に施されていたことが確認された。 2 6-OHDA処置ラットから摘出した腸間膜動脈標本では、プロプラノロールの存在の有無に関わらず、イソプレナリンの弛緩作用の最大値が、対照と比較して抑制されていた。しかし、プロプラノロール存在下でのCGP-12177Aの弛緩作用は、顕著な影響を受けなかった。 3 交感神経の除神経は、α_1-受容体を介した収縮反応を促進させるが、β-受容体を介した弛緩反応に対しては、β_1-受容体、β_3-受容体のいずれの場合も、これを減弱させる可能性が示唆された。ただし、CGP-12177Aの弛緩作用が、6-OHDA処置により顕著な影響を受けなかったこと、CGP-12177Aとイソプレナリンに対するブプラノロールのpA_2値に隔たりがあったことから、β_3-受容体がさらに細分類される可能性も示唆された。
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Research Products
(8 results)