2011 Fiscal Year Annual Research Report
新薬開発の成功率向上を目指した医薬品開発規制環境の改善に関する研究
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20590100
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野 俊介 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (40345591)
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Keywords | 医薬品臨床開発 / 臨床試験 / 規制環境 / ドラッグラグ / 成功確率 / 開発戦略 / 製薬 / 市販後安全 |
Research Abstract |
1.世界の新薬開発状況の分析 全世界の新薬の臨床開発状況について、複数のデータソースから得られた情報を統合し、日本のドラッグラグの変化、グローバル企業の世界開発戦略等に関する分析を行った。グローバル新薬開発が一般化する中で、各地域における開発・上市のタイミングの差(ドラッグラグ)が生じる原因について、不確実性下の企業の期待利益の最大化を想定したモデルに基づいた定量分析を行い、日本のドラッグラグが日本における開発相移行の成功確率の向上と関係して生じている可能性、すなわち不確実性下の企業行動の経済合理性に基づいてドラッグラグが生じている可能性を明らかにした。 2.規制当局による承認審査における意思決定様式に関する分析 規制当局による新薬の承認審査過程における意思決定メカニズムに関する実証的な分析を行った。分析の結果、新薬の使用方法(効能・効果)の決定様式は、薬効・審査領域によって異なること、先行する類似薬の使い方に縛られること、経済的なインセンティブが企業主張の背景にある可能性などが明らかになった。 3.新薬臨床開発における有効性・安全性評価に関する分析 臨床試験の実施方法の改善を図るため、臨床試験における副作用の因果関係評価のメカニズムに関する研究に着手し、学会報告を行った。臨床試験のデザインや過去の情報の蓄積等によって有害事象を副作用と判定するかどうかの判断が影響を受けることが分かった。また開発初期段階の用量設定の判断に関して、その実状、ばらつき等を調査した。 4.規制当局による承認審査のパフォーマンスに関する分析 ドラッグラグの一部である新薬承認審査に要した時間に関する詳細な分析を継続した。当局との交渉・相談経験の活用方法が企業によって異なることなどを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
データの蓄積、分析が想定よりも順調に進んでおり、また、昨年度までの分析経験に基づいて新たな分析が可能となり、当初計画では明確に含まれていなかった研究(臨床試験での副作用の因果関係判定メカニズムの研究など)にも着手することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる平成24年度は、本研究でこれまでに得られた成果(グローバル臨床開発の状況、ドラッグラグの状況及びメカニズム、国内外の新薬規制の動向と開発への影響、臨床試験の方法の改善)を進展させるとともに、全体を傭鰍的に統合し、今後の日本の新薬開発のあるべき姿に対する具体的な提言が可能となるエビデンスを構築する。
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Research Products
(12 results)