2008 Fiscal Year Annual Research Report
癌の浸潤・転移に関与する亜鉛蛋白質の機能を特異的に阻害する亜鉛キレーターの創製
Project/Area Number |
20590104
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
岡本 良成 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (20194409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 雅巳 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (40126008)
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Keywords | 癌 / 浸潤・転移 / 亜鉛蛋白質 / 亜鉛キレーター |
Research Abstract |
癌による死亡の約90%は,腫瘍細胞の局所浸潤(周辺組織への浸潤)と遠隔転移によるものであると考えられている.近年,腫瘍細胞の浸潤・転移に関与する蛋白として,上皮間葉転移に関連する転写因子Snailと,細胞の移動に関連するプロテアーゼADAM10,およびADAM17が見いだされた.これらの蛋白質は,その機能を発現するために亜鉛を必要とする亜鉛蛋白質である. 本研究では,我々が開発した亜鉛特異的な配位子に,蛋白質を特異的に認識する側鎖を結合し,これらの蛋白質の機能発現に必須である亜鉛と特異的に相互作用する亜鉛キレーターを設計・合成し,それにより癌の浸潤・転移を阻害する新規阻害剤の創製を目的とした. 研究代表者らは,ピリジン環の4位にアミノ基を持ち2,6位にシステアミン側鎖を持つ化合物が亜鉛と特異的に結合することを見いだした.これらの化合物のアミノ基に対して蛋白質認識部位を結合することを検討した.その結果,4位のアミノ基は反応性が弱く,この位置に蛋白質認識部位を導入するのは困難であることがわかった.そこで側鎖のアミノ基に結合させるために二つある側鎖アミノ基に対して保護機の導入を行い,一つのアミノ基を保護した化合物を合成することができた.今後は,この化合物に対して蛋白質認識部位の結合を検討していく.
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