2010 Fiscal Year Annual Research Report
癌の浸潤・転移に関与する亜鉛蛋白質の機能を特異的に阻害する亜鉛キレーターの創製
Project/Area Number |
20590104
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
岡本 良成 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 助教 (20194409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 雅巳 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (40126008)
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Keywords | 癌 / 浸潤・転移 / 亜鉛蛋白質 / 亜鉛キレーター |
Research Abstract |
癌による死亡の約90%は,腫瘍細胞の局所浸潤(周辺組織への浸潤)と遠隔転移によるものであると考えられている.近年,腫瘍細胞の浸潤・転移に関与する蛋白として,上皮間葉転移に関連する転写因子snailと,細胞の移動に関連するプロテアーゼADAM10,およびADAM17が見いだされた.これらの蛋白質は,その機能を発現するために亜鉛を必要とする亜鉛蛋白質である. 本研究では,我々が開発した亜鉛特異的な配位子に,蛋白質を特異的に認識する側鎖を結合し,これらの蛋白質の機能発現に必須である亜鉛と特異的に相互作用する亜鉛キレーターを設計・合成し,それにより癌の浸潤・転移を阻害する新規阻害剤の創製を目的とした.今年度は,昨年度合成することに成功した,側鎖アミノ基に広くMMPを阻害することが知られているマリマスタットの蛋白認識部位を縮合させた化合物の活性を検討した.その結果,本化合物は20μMで細胞毒性は示さずに細胞の運動を80%阻害する事がわかった.蛋白認識部位を持たないキレーターだけでは同濃度において強い細胞毒性を発現した.この事は,導入した蛋白認識部位が酵素選択性の発現に寄与したためと考えられる.現在,マリマスタット側鎖より合成が簡便で,より選択性の強い側鎖を挿入した化合物の合成を検討している.本研究で得られた知見は,癌の浸潤・転移を阻害し,癌患者のQOLを改善することができる新しい治療薬の開発につながる物と期待される.
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