2008 Fiscal Year Annual Research Report
アディポサイトカイン産生異常における酸化変性脂質の関与と創薬標的分子の同定
Project/Area Number |
20590105
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
國安 明彦 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (90241348)
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Keywords | 脂質 / ストレス / 生理活性 |
Research Abstract |
リゾリン脂質類のアディポサイトカイン産生への影響をマウス3T3-L1脂肪細胞を用いて調べた。また、分泌に関わるシグナルとして活性酸素種(ROS)産生系およびMAPキナーゼシグナルの関与について解析を行い、創薬に結びつくと期待される以下の知見を得た。 1、アディポサイトカイン産生へのリゾリン脂質の影響 3T3-L1脂肪細胞(分化後10日目)に1〜10μMのpalmitoyl lysophosphatidylcholine(Pal-LPC)を処理するとplasminogen activator inhibitbr1(PAI-1)、monocyte chemoattractant proteln-1(MCP-1)の著明な分泌増大が見られた。これらの増大はmRNA量の増加を伴っており転写活性化によることがわかった。 2、リゾリン脂質によるROS産生. Pal-LPC添加により脂肪細胞において速やかなROSの産生が見られた。また、N-acetylcysteineでROSを消去するとPal-LPCによるPAI-1とMCP-1の分泌増大がほぼ完全に抑制された。 3、MAPキナーゼシグナルの関与 MAPキナーゼ経路の関与を調べた結果、ERK経路を遮断することでPal-LPCで誘導されるPAI-1とMCP-1の分泌が顕著に抑制された。また、PAI-1ではp38経路によっても若干分泌が抑制された。 以上の結果より、リゾリン脂質によるアディポサイトカイン産生異常を抑える方法として、脂肪組織におけるROS産生の抑制、およびMAPキナーゼ経路の遮断が有効であると考えられる。
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