2010 Fiscal Year Annual Research Report
タウ蛋白質のタングル形成阻害剤の開発:認知症治療・予防薬開発のための基盤研究
Project/Area Number |
20590111
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
石田 寿昌 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (00111021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友尾 幸司 大阪薬科大学, 薬学部, 准教授 (70257898)
尹 康子 大阪薬科大学, 薬学部, 講師 (50257896)
箕浦 克彦 大阪薬科大学, 薬学部, 講師 (10278591)
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Keywords | タウ蛋白質 / 微小管結合ドメイン / 重合抑制 / 阻害剤 / 抗体 / 抑制機構 / 構造解析 / C-H…Π結合 |
Research Abstract |
MBDのR2-R3リピート構造を認識する抗体の作成とその認識機構の解明 TauのR2-R3リピート構造を選択的に認識する抗体Tau2r3の単離精製に成功した。ついで、その抗原結合性フラグメント(Fab2r3)とR2-R3ペプチドの結合の確認をプル-ダウン法、表面ブラズモン法により確認し、その結合の雄心をなすVQIINKペプチドとの複合体の結晶化に成功した。そして、硫黄原子の異常分散による位相決定に成功し、現在、全体構造の7割以上の構造を同定している。本年中に構造解析を完成させ、本目的であるタウ抗体のタウ認識機構を原子レベルで解明し、この情報を基に新規タウ重合阻害剤の開発に取り組む。 PHF形成阻害分子チオニンとタウMBDドメインR2-R3構造との相互作用解析と、それに基づく阻害分子の開発と医薬品への展開(継続研究) ^1H-NMR測定によるチオニンとR2-R3構造との相互作用の溶液構造解析および分子動力学計算および分光化学的手法によりチオニン-R2-R3リピート分子複合体の相互作用解析を行った。その結果、チオニンがR2-R3リピート分子の分子会合を阻害するために必要な構造特徴として、(1)芳香性の平面構造、(2)R2-R3リピートと水素結合や静電結合が形成できる極性原子を芳香環中または環に直接結合していることで、これにより、R2-R3リピート分子のβ-シート構造の形成を阻害できることを明らかにした。この知見に基づき、チオニンより強いPHF形成阻害能を示す天然分子ジュグロンおよびシコニンの発見に成功し、医薬への応用のための分子改良を試み、現在、鋭意研究を進めている。 R3ドメイン内チロシン残基を選択特異的に修飾する化合物の開発(継続研究) 今年度はPHF形成に不可欠な構造要素としてタウR3リピート内の308番目のイソロイシンと310番目のチロシン残基とのC-H…Π結合を、完全長のタウ分子とその一連の変換体を用いて明らかにした。一方、これまでに明らかにしてきたPHF形成反応を阻害する低分子化合物を用いて、そのC-H…Π結合を選択特異的にブロックするか否かについてNMRをはじめとする分光化学的奉手法により、検討を進めている。
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Research Products
(8 results)