2010 Fiscal Year Annual Research Report
核内受容体LXR選択的モジュレーターによる特異的HDL上昇の分子機構
Project/Area Number |
20590116
|
Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
最上 知子 国立医薬品食品衛生研究所, 機能生化学部, 室長 (90174333)
|
Keywords | 核内受容体 / LXR / HDL / 選択的モジュレーター / ABCA1 / PPARγ / RXR |
Research Abstract |
核内受容体LXR(liver X receptor)はコレステロール輸送・異化に関わる遺伝子発現を制御し、アゴニストは抗動脈硬化性リポタンパクHDL上昇薬の有力候補であるが、lipogenesis促進によるトリグリセリド上昇を招くことから、細胞組織選択的あるいは遺伝子選択的に機能を発揮するリガンドの開発が期待されている。本研究では、LXR/RXRを選択的に活性化し細胞選択性を発揮するリガンド(モジュレーター)について、選択性を発揮するメカニズムの解明を行う。 1.LXRαアゴニスト/LXRβアンタゴニストのユニークな特性を示すRiccardin CがLXRαを選択的に活性化する機構に関して、LXRαのアミノ酸を327位のアラニンをヒスチジンに変異することにより活性が約1/3に低下することを見いだした。LXRβのヘリックス3-7領域をLXRαに置換したキメラ受容体は、RCに対してLXRαの約1/2の活性を示したが、この場合にもA327H変異により活性が1/2に低下することが判明した。一方、LXRβの327位のヒスチジンをアラニンに転換してもRCによる活性は認められないままであったが、LXRαのヘリックス3-7領域をLXRβに置換し活性を失ったキメラ受容体にH327A変異を導入すると、RCによる活性化が認められた。したがって、LXRβでは327位のヒスチジンのかさ高さか荷電が障害となり、RCが活性化できないと推定される。 2.RXRアゴニストがLXR/RXRを活性化できるか否かは、その構造に強く依存する。内分泌撹乱物質トリブチルスズ(TBTC)はRXRアゴニスト活性を示すことが知られるが、LXRα/RXRを活性化するがLXRβ/RXRはできないこと、RAW264マクロファージにおいて膜トランスポーターABCA1の遺伝子プロモーターをLXR応答配列依存的に活性化し、ABCA1のmRNA・タンパク発現を上昇し、HDL産生を促進する能力を持つことを見いだした。
|
Research Products
(4 results)