2010 Fiscal Year Annual Research Report
HCV感染制御のための人工ガンマグロブリンの作成とその評価系の開発
Project/Area Number |
20590117
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Research Institution | National Institute of Biomedical Innovation |
Principal Investigator |
亀岡 洋祐 独立行政法人医薬基盤研究所, 難病・疾患資源研究部, 主任研究員 (00224692)
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Keywords | ゲノム創薬 / 人体抗体 / C型肝炎 / HCV / 感染制御 |
Research Abstract |
本研究は、HCV感染患者の中の無症候性キャリアの生体内に感染制御や肝炎進行抑制に機能する抗体種を保持していることが予想されることに基づき、無症候性キャリアの体内で作用している抗体クローンをバルクでクローニングした人工ポリクローナルガンマグロブリンを作成し、HCV感染制御・肝炎進行制御をすることにより、HCV感染に起因する肝炎、肝硬変、肝癌に対する治療薬開発に寄与することを目的としている。 平成21年度までに、HCV感染患者末梢血単球5例のよりIgGのVH領域cDNAクローンライブラリを作成し約14,000のクローンを得た、384クローンを選択し塩基配列解析により多様性を確認した。評価系に関してはHepG2細胞を用いてトランスフェクションによるジェノタイプ1a、2a、2bのNS5、コアタンパクmRNA発現をqPCRで検出する系を検証し利用できることを確認し、タンパク発現と既存特異抗体によりウエスタンブロット、蛍光抗体での発現検出を行い評価系として利用できることも確認した。炎症性マーカー解析に関してPAXgen系の収集でサイトカイン検出に問題があった。 平成22年度は、IgGのVH領域cDNAクローン152クローンを選択し、これらよりポリクローナルなVH単鎖抗体を合成・精製を行い、直接の肝炎モデル系ではないが、炎症性モデルマウスであるSCJK/Jマウスを用いて、治療実験を行った。全身の炎症症状が発症する生後8週を基準にヒトガンマグロブリン製剤を基準に人工ポリクローン抗体を量を変えて腹腔に5日間連投し2週間後に、採血及び肝臓、脾臓、肺等の臓器の炎症状態を解析した。末梢血においては、リンパ球、単核球、顆粒球が投与ドーズレスポンス的に低下し、対照であるヒト製剤の10分の1量で同様あるいはそれ以上の効果が考えられた。また脾臓腫大の抑制効果も投与量依存的に抑制効果が観察された。今回得られたガンマグロブリンVHクローンが炎症性疾患について抑制的に働くことが示され、肝炎治療への応用の可能性が示された。
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