2009 Fiscal Year Annual Research Report
高病原性鳥インフルエンザウイルスの薬剤耐性機構の解明
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20590118
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田川 優子 (坂井 優子) The University of Tokyo, 医科学研究所, 助手 (40178538)
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Keywords | 鳥インフルエンザウイルス / オセルタミビル / 薬剤耐性 / 迅速診断 / 病原性 / 国際情報交換 / ベトナム:インドネシア / 抗ウイルス剤 |
Research Abstract |
H5N1高病原性鳥インフルエンザウイルスによって現在でも多くの患者が死亡している。インフルエンザ治療に効果的なオセルタミビルはH5N1インフルエンザ治療にも適用されているが、ウイルスが変異を獲得してヒトヒト感染による大規模蔓延を起こしたときには薬剤耐性の出現は脅威となる。 昨年度、感染患者の28検体中、1検体でオセルタミビル耐性の変異を持つウイルスが検出され、薬剤感受性の低下したウイルスであることを報告した。今年度はさらに検体数を追加したが薬剤耐性ウイルスは検出されず、本ウイルスにおける薬剤耐性の検出頻度は低いことが予想された。 また、患者周辺には家禽や家畜にウイルスが蔓延している可能性が高いことから、インドネシアのブタ約800検体を解析した結果、無症状のブタの中から鳥インフルエンザウイルスが高頻度で分離され、また、遠隔地間で同系統のウイルスが流行していることがわかり、感染したブクの移動などによって、各地に広がっている可能性が示唆された。これらの動物から分離されたウイルスの中に薬剤耐性変異は今までのところ見つかっていないが、今後も探索を続ける必要がある。 他方、鳥インフルエンザウイルスが哺乳類で増殖しやすくなる変異が患者の体内ですでに生じていることも発見した。ヒト型レセプターを混在するダチョウの細胞でウイルスを継代することによってもこれらの変異が生じることを示し、ヒトに蔓延する変異の獲得は容易であることが分かり、今後もこれらの患者体内での検索をサーベイする必要があることを示唆した。 さらに新規抗インフルエンザ薬T-705のH5N1に対する効果をマウスで検証し、オセルタミビル耐性ウイルスにも効果的な薬剤であることを示した。今後も他の新規薬剤の効果の検証やそれによる耐性変異の検索などを行う予定である。
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Research Products
(7 results)