2009 Fiscal Year Annual Research Report
多剤耐性菌における多剤耐性系の系統的解析と耐性菌に有効な医薬品の開発
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20590120
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
土屋 友房 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80012673)
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Keywords | 多剤耐性菌 / 多剤排出ポンプ / MRSA / バイオフィルム阻害物質 |
Research Abstract |
世界保健機関(WHO)の統計によると、人類の死亡原因の第一位は相変わらず微生物感染症である。わが国や欧米諸国などの先進諸国では、特に多剤耐性菌による感染症が大きな問題になっている。多剤耐性菌には多くの抗菌薬や消毒薬が効かず、有効な抗菌薬に対しても比較的簡単に耐性化する。本研究は、現在臨床現場で重大な問題となっている多剤耐性菌(MRSA、緑膿菌、VREなど)について、多剤排出ポンプなどの多剤耐性系を系統的に解析することを目指すものである。そして同時に、耐性菌に有効な医薬品(新規抗菌物質、耐性系阻害物質、病原性を減弱する物質)の開発を目指すものである。 本研究においては、まず、ゲノム情報を活用し、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、多剤耐性緑膿菌(MDRP)、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)、セラチア、肺炎桿菌、バンコマイシン耐性長球菌(VRE)など、臨床現場で大きな問題になっている多剤耐性菌の多剤排出ポンプを中心とする耐性系遺伝子を推定した。そして、これらの細菌には数十個の耐性系遺伝子が存在することがわかった。それらの中で主要と考えられるものについて遺伝子クローニングと解析を試みた。前年度に引き続き、いくつかのものについてはクローニングと解析を進めた。また、前年度に、これまで適切な遺伝子クローニング系・解析系が存在しなかったグラム陰性菌について、有用な系を開発したので、その解析系を用いて未解析の多剤排出ポンプの解析を進めた。 一方、耐性菌に有効な抗菌物質、耐性系阻害物質などについてさらに探索を進め、いくつかの教務深い物質を見つけた。特に、前年度に見つけたMRSAのバイオフィルム形成を阻害する物質については、特許申請をおこなった。そしてその特許についてはニューヨークショーケース(国際的な特許説明会)に取り上げられることが決まっている。
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Research Products
(3 results)