2008 Fiscal Year Annual Research Report
化学物質の個別化危険度評価を目指した異物代謝能の個人差発現の解明
Project/Area Number |
20590121
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
埴岡 伸光 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (70228518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成松 鎭雄 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20113037)
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Keywords | 環境化学物質 / 個別危険度評価 / 異物代謝酵素 / シトクロムP450 / UDP-グルクロン酸転移酵素 / 環境的要因 / 遺伝的要因 |
Research Abstract |
異物代謝酵素の発現は遺伝的要因や環境的要因により大きく変動する。本研究は環境化学物質(内分泌撹乱化学物質及びシックハウス症候群原因化学物質)の代謝に重要な役割を担っている異物代謝酵素及び異物代謝酵素転写制御因子に焦点を当て、以下の検討を行うプロジェクトである。遺伝的要因については、ヒト異物代謝酵素の変異型酵素を作製し、その野生型酵素と比較することにより異物代謝酵素の遺伝子多型による酵素機能変動を検討する。環境的要因にっいては、ヒト肝および肝外由来細胞に各種化学物質を曝露し、異物代謝酵素及び異物代謝酵素転写制御因子のmRNA、タンパク質及び酵素活性の変動を検討する。 平成20年度は、MCF-7細胞(乳癌由来細胞)におけるシトクロムP450(CYP)及びUDP-グルクロン酸転移酵素(UGT)の環境的要因(化学物質の曝露)による発現変動についてmRNA、タンパク質及び酵素活性レベルから検討した。β-ナフトフラボン(BNF)前処置によりCYPIA1、CYPIA2、CYPIB1及びUGTIA6mRNA発現量が増加し、UGT2B15及びUGT2B17mRNA発現量は逆に減少した。一方、フェノバルビタール(PB)及びデキサメサゾン(DEX)前処置ではいずれのCYP及びUGT分子種のmRNA量も変動しなかった。CYPIA1/2及びCYPIB1タンパク質発現量はBNF前処置により増加したが、UGTIA1及びUGTIA6タンパク質発現量はいずれの誘導剤でも顕著な影響を受けなかった。また、CYPIA1/2-及びUGTIA1/6依存性酵素反応のVmax及びVmax/Kmは、BNFにより顕著に増加した。UGTIA1/6依存性酵素活性はUGTIA1基質のビリルビン添加の影響をほとんど受けなかったが、UGTIA6基質のセロトニンは競合的に阻害した。これらの結果から、BNFはMCF-7細胞においてCYPIA1/2及びUGTIA6を誘導することが示唆された。
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Research Products
(4 results)