2009 Fiscal Year Annual Research Report
化学物質の個別化危険度評価を目指した異物代謝能の個人差発現の解明
Project/Area Number |
20590121
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
埴岡 伸光 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (70228518)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成松 鎭雄 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20113037)
|
Keywords | 環境化学物質 / 個別危険度評価 / 異物代謝酵素 / シトクロムP450 / UDP-グルクロン酸転移酵素 / 核内受容体 |
Research Abstract |
異物代謝酵素の発現は遺伝的要因や環境的要因により大きく変動する。本研究は環境化学物質(内分泌撹乱化学物質及びシックハウス症候群原因化学物質)の代謝に重要な役割を担っている異物代謝酵素及び異物代謝酵素転写制御因子に焦点を当て、以下の検討を行うプロジェクトである。遺伝的要因については、ヒト異物代謝酵素の変異型酵素を作製し、その野生型酵素と比較することにより異物代謝酵素の遺伝子多型による酵素機能変動を検討する。環境的要因については、ヒト肝および肝外由来細胞に各種化学物質を曝露し、異物代謝酵素及び異物代謝酵素転写制御因子のmRNA、タンパク質及び酵素活性の変動を検討する。 平成21年度は、ヒト肝臓癌由来のHepG2細胞及びヒト結腸癌由来のCaco-2細胞におけるアフラトキシンB1(AFB1)曝露によるシトクロムP450(CYP)及びUDP-グルクロン酸転移酵素(UGT)並びにそれらの発現制御を担う核内受容体の変動についてmRNAレベルで検討した。1) HepG2細胞では、検討したいずれのCYP分子種及び核内受容体においてもAFB1 (10μM)前処置によるmRNA発現量の有意な変動は認められなかった。一方、UGTでは、UGT1A3、UGT2B10、UGT2B15及びUGT2B17 mRNA発現量がAFB1前処置によりコントロール細胞の1.5~2.4倍有意に増加した。また、これらのUGT分子種のmRNA発現量は、AFB1の用量(0、0.5、2及び10μM)にほぼ依存して増加することを確認した。CYP1A2、CYP2C8、CYP2D6、UGT1A4、UGT1A6及びCAR mRNAは本研究で用いたRT-PCR条件下では検出されなかった。2) Caco-2細胞では、CYP1A2、CYP2D6、CYP3A4、UGT1A4、UGT1A8、UGT2B10及びPXR mRNAは本研究で用いたRT-PCR条件下では検出されず、これら以外のCYP、UGT及び核内受容体は、いずれもAFB1前処置(10μM)によるmRNA発現の有意な変動は認められなかった。本研究の結果から、HepG2細胞においてAFB1はUGT1A3、UGT2B10、UGT2B15及びUGT2B17 mRNA発現量を増加させることが示唆され、HepG2細胞とCaco-2細胞では薬物代謝酵素の変動パターンが異なることが明らかとなった。
|
Research Products
(4 results)