2010 Fiscal Year Annual Research Report
化学物質の個別化危険度評価を目指した異物代謝能の個人差発現の解明
Project/Area Number |
20590121
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
埴岡 伸光 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (70228518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成松 鎭雄 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20113037)
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Keywords | 環境化学物質 / 個別危険度評価 / 異物代謝酵素 / シトクロムP450 / 遺伝子多型 / CYP2E1 |
Research Abstract |
本研究は、異物代謝能の個人差に着目した環境化学物質の安全性・毒性評価確立を目指している。平成22年度は、社会的に問題となっているシックハウス症候群原因化学物質と異物代謝酵素の遺伝子多型の関連性を解明するために、野生型CYP2E1及び3種類のアミノ酸置換を伴う変異型CYP2E1[CYP2E1.2(Arg76His)、CYP2E1.3(Val398Ile)及びCYP2E1.4(Val179Ile)]酵素を酵母細胞に発現させ、これら酵素によるトルエン及びベンゼンの水酸化反応について検討した。また、CYP2E1活性のプローブとなるクロルゾキサゾン6位水酸化活性についても測定した。 野生型及び変異型CYP2E1発現酵母細胞ミクロゾームによるトルエン水酸化反応の速度論的パラメーター値には、野生型酵素と変異型酵素との間で有意な差は認められなかった。また、ベンゼン水酸化反応のKm値並びにCYP含量当たりのVmax値及びVmax/Km値は、いずれの変異型酵素も野生型酵素と同程度であった。さらに、クロルゾキサゾン6位水酸化活性の速度論的パラメーター値も野生型CYP2E1といずれの変異型CYP2E1との間に有意な差は認められなかった。これらの結果から、酵母細胞を用いたin vitro系においてCYP2E1.2、CYP2E1.3及びCYP2E1.4におけるアミノ酸置換はCYP2E1酵素のトルエン及びベンゼンに対する代謝能に顕著な影響を与えないことが明らかとなった。 本研究の知見は、異物代謝能における遺伝子多型に基づく個人差を考慮した環境化学物質の安全性・毒性評価法を確立するための有用な基礎的情報になるものと期待される。
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Research Products
(6 results)