2010 Fiscal Year Annual Research Report
セレン化合物による2型糖尿病の発症予防とその作用機序
Project/Area Number |
20590128
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
上野 仁 摂南大学, 薬学部, 教授 (20176621)
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Keywords | セレン / 糖尿病 / セレノメチオニン / 耐糖能 / インスリン / 脂肪細胞 / 3T3-L1 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
昨年度の検討では、3種のセレン化合物のうちセレノメチオニン(SeMet)が短期誘発糖尿病マウスモデルの膵臓におけるセレン状態を最も高めるとともに、随時血糖値および糖負荷後血糖値を最も有意に低下させることが認められた。今年度はその作用機序を解明する目的で、SeMetが酸化的ストレス防御系の賦活化によるインスリン分泌の改善によるものか、あるいはSeMet自体のインスリン様作用によるのかを明らかにするために検討を行った。まず、SeMetによる糖尿病発症予防の作用機序として、SeMetが膵島β細胞に対して酸化的ストレス防御系の賦活化を介してインスリン分泌を改善しているかどうかを検討した。その結果、SeMetはマウスインスリノーマMIN6細胞におけるインスリン産生および分泌量、酸化的ストレス防御系のglutathione peroxidase (GPX)1、GPX4およびthioredoxin reductase (TR)1活性またはmRNA発現量に影響を及ぼさなかった。そこで、インスリン標的組織である脂肪細胞に対するSeMetの作用を明らかにするため、マウス3T3-L1脂肪細胞へのグルコースの取り込みに対する影響を調べた。SeMetは^3H-デオキシグルコースの取り込みを促進し、GPX1 mRNA発現量を増大させることが判明した。そのため、SeMeTは膵島β細胞に対するインスリン産生促進よりも、むしろ脂肪細胞に対するインスリン様作用を示すことが示唆された。
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