2009 Fiscal Year Annual Research Report
室内環境中のカルボニル化合物によるTRPイオンチャネルの活性化に関する研究
Project/Area Number |
20590133
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
神野 透人 National Institute of Health Sciences, 環境衛生化学部, 第一室長 (10179096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香川 聡子 国立医薬品食品衛生研究所, 環境衛生化学部, 主任研究官 (40188313)
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Keywords | 室内環境化学物質 / イオンチャネル |
Research Abstract |
本研究は化学物質による健康障害についてその発症メカニズムの解明を目指し、ポリモーダル受容器であるTRP(Transient Receptor Potential)イオンチャネルに着目して、室内環境、特に室内空気中のカルボニル化合物の影響を明らかにすることを目的とする。当該年度は初年度に樹立した6種のヒトTRPイオンチャネル発現細胞株を用いて、細胞内Ca^<2+>濃度を指標とするハイスループットアッセイ系を構築した。さらに、喘息や気道過敏症の発症及び増悪に深く関与することが示されているTRPV1及びTRPA1に関して、構築したアッセイ系を用いてシックハウス症候群発症の重要な一要因であることが指摘されている微生物由来揮発性有機化合物(MVOC)、及び消毒副生成物について活生化能を評価した。その結果、MVOCとして知られる1-octen-3-oneがTRPV1及びTRPA1を濃度依存的に活性化することが明らかになった。また、消毒副生成物として評価した1,3-Dichloro-2-propanone、1-Chloro-2-propanone、1,1,3-Trichloro-2-propanone、1,1-Dichloro-2-propanoneがTRPA1に対して濃度依存的な活性化を引き起こすことが判明した。本研究の結果は、室内環境中に存在するある種のカルボニル化合物がTRPV1あるいはTRPA1の活性化を介して気道過敏性を亢進させる可能性があることを示すものであると考えられる。
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