2008 Fiscal Year Annual Research Report
環境毒による神経機能障害に対するローキナーゼ阻害薬の効果に関する実験的研究
Project/Area Number |
20590135
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Research Institution | National Institute for Minamata Disease |
Principal Investigator |
藤村 成剛 National Institute for Minamata Disease, 基礎研究部・病理室, 室長 (20416564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼杵 扶佐子 国立水俣病総合研究センター, 臨床部・理学診療科, 室長 (50185013)
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Keywords | 環境 / 再生医学 / 脳神経疾患 / 薬理学 |
Research Abstract |
本年度、メチル水銀によって誘発される神経機能障害に対するRho kinase阻害薬(Y-27632)の効果について検討を行った。本化合物は脳神経系への移行が悪いため、大槽内カニュレーションを行い、脳神経系への直接注入(1mg/kg/day)を行った。しかしながら、持続注入のため雑菌が脳神経系に混入し、髄膜炎を起こしてしまい、薬効評価ができなかった。 そこで、末梢投与(皮下投与)によって脳神経系に移行する他のRho kinase阻害薬(Fasudil)を用いることにした。予め本薬剤のメチル水銀毒性に対する効果について培養神経細胞を用いて検証した結果、FasudilはY-27632と同様の効果(両薬剤ともに1-3μMで抑制作用を示した)を有することが明らかとなった。動物実験においても、メチル水銀による神経障害に対するFasudilの効果を予備的に検討した。その結果、Fasudilは皮下投与による持続注入(3mg/kg/day)によって、メチル水銀による体重減少よび神経機能障害(後肢交差)に対して抑制作用を示すことが明らかになった。なお、神経組織学的な検討は実施中である。ただ、本検討は予備検討であり、例数が少ない(n=3)ため、来年度は例数を増やして(n=6)検討を行う予定である。 また、以前から行ってきた本研究に関する培養細胞を用いた基礎検討については、実験結果をまとめて、英文雑誌(Neurotoxicology)。に受理された。
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