2009 Fiscal Year Annual Research Report
環境毒による神経機能障害に対するローキナーゼ阻害薬の効果に関する実験的研究
Project/Area Number |
20590135
|
Research Institution | National Institute for Minamata Disease |
Principal Investigator |
藤村 成剛 National Institute for Minamata Disease, 基礎研究部, 室長 (20416564)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼杵 扶佐子 国立水俣病総合研究センター, 臨床部, 室長 (50185013)
|
Keywords | 環境毒 / 神経機能障害 / ローキナーゼ阻害薬 |
Research Abstract |
本研究の目的は、メチル水銀による神経機能障害の毒性防御を可能にするため、神経機能障害に対するローキナーゼ阻害薬の効果について実験的に明らかにするものである。 本年度は、ラット培養神経細胞を用いた検討を実施し、ローキナーゼの活性化物質であるロー蛋白そのものを阻害するC3 toxin、ローキナーゼ阻害薬であるY-27632およびFasudilがメチル水銀による神経軸策障害を抑制することによって、細胞死を抑制することを明らかにした。このことから、メチル水銀による神経軸策障害および細胞死において、ロー蛋白を開始点とするロー・ローキナーゼ経路が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。以上の結果は、「Inhibition of Rho/ROCK pathway prevents methylmercury-induced neuronal degeneration」として論文投稿準備中である。 また、昨年度、メチル水銀中毒モデルを用いてローキナーゼ阻害薬であるY-27632(1mg/kg/day、大槽内慢性投与)の神経病変および神経症状(後肢交差)に対する効果について実験を行った。(Y-27632は皮下、腹腔内、経口などの投与では中枢神経系には移行しないため、中枢神経系に移行させるためには、大槽内投与を行う必要がある)しかしながら、大槽内慢性投与により、髄膜炎の発症がみられたためY-27632の効果確認には至らなかった。本年度はこの結果をふまえ、予備的(n=3)な検討ではあるが、末梢投与によって神経系に移行するFasudil(3mg/kg/day,皮下投与)が末梢神経病変(後根神経)および神経症状(後肢交差)を抑制することを確認した。このことから、in vivoにおいてもロー・ローキナーゼ経路が重要な役割を果たし、その過程を阻害することで、メチル水銀の毒性軽減が可能になることが示唆された。
|