2008 Fiscal Year Annual Research Report
血中コレステロールレベルの調節における回腸胆汁酸吸収の役割
Project/Area Number |
20590137
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮田 昌明 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 助教 (90239418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉成 浩一 東北大学, 大学院・薬学研究科, 准教授 (60343399)
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Keywords | 胆汁酸 / 消化管吸収 / FXR / ASBT / コレステロール / 発現調節 |
Research Abstract |
回腸の胆汁酸吸収能の調節機序を明らかにするため、胆汁酸吸収に関わる輸送担体等の発現調節に関わる胆汁酸をリガンドとする核内受容体farnesoid X receptor(FXR)の欠損マウスを用い、胆汁酸やコレステロールを処置した時の胆汁酸吸収能と胆汁酸トランスポーターのapical sodium-dependent bile salt transporter(ASBT)の発現について解析した。野性型マウスにコール酸(0.5%)食あるいはコール酸(0.5%)とコレステロール(1.25%)併用食を6日間摂取させるとin situループ法で評価した回腸胆汁酸吸収能がコントロール群と比較して有意に減少したが両者では差異は認められなかった。Fxr欠損マウスのコール酸群ではコントロール群と比べ胆汁酸吸収能は減少しなかったが、併用群で吸収能が有意に減少した。この吸収能の変化に対応してFxr欠損マウスの肝内胆汁酸濃度や門脈血中の胆汁酸濃度も併用群ではコール酸群と比べ減少した。これらの胆汁酸吸収能の変動の原因を明らかにするため、回腸胆汁酸吸収トランスポーターのAsbtのmRNAやタンパクレベルを解析した。野性型マウスもFxr欠損マウスもコール酸群と併用群の間でAsbt mRNAレベルの有意な差異は認められなかった。一方回腸刷子縁膜のAsbtタンパクレベルにおいては野性型、Fxr欠損マウス共に併用群でコール酸群と比べて有意な減少が認められた。以上の結果より回腸の胆汁酸吸収能は回腸刷子縁膜のAsbtタンパクレベルと必ずしも相関せず、その他の調節因子の存在が示唆された。またコレステロールによるAsbtの回腸刷子縁膜での発現は翻訳以降の過程で調節されていることが示唆された。今後このコレステロールによるAsbtタンパク発現の調節の機構を解析するとともに、回腸での胆汁酸吸収能を決定付ける因子の同定を実施する。
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