2009 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲン受容体遺伝子多型と薬剤選択との相関性に関する研究
Project/Area Number |
20590138
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
上野 光一 Chiba University, 大学院・薬学研究院, 教授 (60125903)
|
Keywords | エストロゲン受容体 / 遺伝子多型 / 関節リウマチ / 性差 / 臨床研究 / マイクロサテライト多型 / 医薬品適正使用 / 薬剤相関性 |
Research Abstract |
女性に多い疾患である更年期障害、骨粗鬆症や関節リウマチ症(RA)においてもエストロゲンとの関連が指摘されているが、ER遺伝子多型との関連についてはエビデンスが少ない。ER遺伝子多型との相関性が病態や処方薬剤との間に認められれば、病因と薬物療法選択にエビデンスを与えることができる。本年度はER遺伝子多型とRA処方との相関について検討した。 RA患者264名(男性53名、女性211名)及び変形性関節症(OA)患者174名(男性19名、女性155名)を対象にERβ遺伝子Rsa多型及びERβ遺伝子CAリピート多型について頻度分布を解析した。その結果、ERβ遺伝子Rsa多型について、男性では両患者とも同様の頻度分布であったのに対し、女性では重症RA患者において軽症RA患者およびOA(変形性関節炎)患者とは異なりGG genotypeの頻度が有意に高かった。このことから、Rsa多型と女性における重症RAの発症に何らかの関与がある可能性が示唆された。さらに、RA患者とOA患者間のERβ遺伝子CAリピート多型の頻度分布の差を検討したところ、ERβ遺伝子CAリピート多型について、RA患者とOA患者との間に頻度分布の差は認められなかった。 そこで、Rsa多型についてRA患者群を重症度別に比較した。この検討では各群の間にgenotype頻度の差は見られなかったが、OA患者のものと比較すると、重症RA患者においてGG genotypeの頻度が有意に高く、症状に応じてgenotype頻度の分布傾向に有意な差が見られた。また性別で層別化すると、OA女性患者と比較して重症RA女性患者はGG genotypeの頻度が有意に高いことがわかった。 以上の結果から、Rsa多型GG genotypeは、女性において重症RAの発症に何らかの関与を示す可能性が示唆された。
|
Research Products
(27 results)