2010 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲン受容体遺伝子多型と薬剤選択との相関性に関する研究
Project/Area Number |
20590138
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
上野 光一 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (60125903)
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Keywords | エストロゲン受容体 / 遺伝子多型 / 更年期障害 / 性差 / 臨床研究 / マイクロサテライト多型 / 医薬品適正使用 / 漢方治療 |
Research Abstract |
エストロゲンβ受容体(ERβ)遺伝子多型と更年期障害患者の処方薬剤治療効果や病態との相関性を検討した。ERβ遺伝子多型としては、intron 5に存在するCytocine-Adenineの2塩基の繰り返し配列数の違いからなるマイクロサテライト多型の一つであるCAリピート多型に焦点を当てた。更年期障害の本邦における治療法は主にホルモン補充療法と漢方療法が使用されているが、本研究においては日本人に需要が多い漢方治療に的を絞り、薬剤には患者の不定愁訴に多い血管運動神経障害に効果が高いとされる桂枝茯苓丸を選択した。対象患者は、千葉大学医学部附属病院和漢診療科及び千葉大学環境フィールドセンター柏の葉診療所において、更年期障害を主訴として受診した40歳以上の女性で、Kupperman index(更年期指数)において軽症以上かつ血管運動障害様症状が認められた方に対し、既往歴の問診及び血液検査等で症状の起因となる他の器質的疾患や除外項目が認められず、漢方専門医師の診察により桂枝茯苓丸の証と認められた34名とした。 同意の得られた患者より採血後、ゲノムDNAを抽出してCAリピート多型(繰り返し数に応じてSS,SL,LLに分類)を決定した。期間中、1ヶ月ごとに来院戴き、問診などにより治療経過を観察し、3ヵ月後の状態を確認したところ、ERβ遺伝子多型のLL genotypeの患者で、桂枝茯苓丸服用で血管運動症状及び不眠症状等の更年期症状の改善がみられ、漢方医学的な病態の改善もみられた。また、SL genotypeの患者に血管運動症状及びゆううつ症状の改善効果がみられた。このため、LL genotypeおよびSL genotypeでは桂枝茯苓丸での更年期障害薬物治療効果が期待できることが示唆された。
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Research Products
(19 results)