2009 Fiscal Year Annual Research Report
薬物代謝酵素CYP3Aの性特異的発現機構:ヒトとマウスの比較
Project/Area Number |
20590140
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
佐久間 勉 University of Toyama, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 准教授 (30250468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 信雄 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 教授 (10085631)
河崎 優希 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 助教 (30432107)
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Keywords | 薬物代謝酵素 / シトクロムP450 / 性特異性 / CYP3A / マウス |
Research Abstract |
マウスCyp3a41遺伝子の肝臓におけるメス特異的発現に関わる転写調節領域の決定と相互作用する転写因子の同定を実施した。近位プロモーター領域に存在する転写因子HNF4αの推定結合配列(-99/-87)がメス特異的発現に寄与している可能性が昨年度までに示された為、さらに詳細な解析を実施した。ゲルシフトアッセイによって組換えHNF4αタンパク質が当該配列に結合できることが示され、肝臓核抽出液を用いてもHNF4αタンパク質の結合が確認された。ゲルシフトアッセイにおいては、雌雄で結合量に差が無く、イムノブロット分析でも核内のHNF4αタンパク質の量に性差がないことが裏付けられた。しかし、クロマチン免疫沈降法(ChIP)を用いて細胞内でのHNF4α結合レベルを比較すると、オスよりメスで多く結合していることが示された。この結果と核内でのクロマチン構造を反映していないプラスミド状のCyp3a41遺伝子レポーターコンストラクトとマウス個体あるいは初代培養肝細胞を用いたレポーター遺伝子アッセイでは転写活性に性差が観察されなかった事を考え合わせると、細胞内のクロマチン構造に雌雄差があり、それが発現の性特異性に関与している可能性が考えられた。ChIPアッセイにより、Cyp3a41遺伝子近傍のヒストンタンパク質の修飾状態に雌雄差があるか否か確認したところ、転写活性化領域に高頻度で見出されるヒストン3リジン4ジメチル化がオスよりメスで高く、ヘテロクロマチン化に関わり転写不活性化領域に高頻度で見出されるヒストン3リジン27トリメチル化はメスよりオスで高かった。ヒストン4のアセチル化はオスよりメスで高い値を示した。以上の結果は、Cyp3a41遺伝子のメス特異的発現にHNF4αの結合配列付近のクロマチン構造の雌雄差が関与している可能性を示している。
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