2010 Fiscal Year Annual Research Report
NADPHオキシダーゼ阻害剤によるNASHの抗酸化療法の開発研究
Project/Area Number |
20590141
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宮本 謙一 金沢大学, 附属病院, 教授 (30100514)
|
Keywords | NASH / NADPHオキシダーゼ / 酸化ストレス / 炎症 / 肝繊維化 |
Research Abstract |
本研究は、近年生活習慣病としてのメタボリックシンドロームの一病態として注目されている非アルコール性脂肪肝(NASH)について、脂肪肝炎の病態解明と治療法確立に寄与することを目標としている。本年度は、自然発症肥満2型糖尿病モデル動物マウス(TSODマウス)とその対照マウス(TSNOマウス)を通常食および高脂肪食で飼育し、Salacia reticulata抽出物(SRE)および葛の花抽出物(PTE)をそれぞれ1~2ヶ月間投与後の体重および各組織重量、リアルタイムPCRやウエスタンブロットによる各組織の遺伝子発現の評価と血液検査を行った。また成熟脂肪細胞である3T3-L1細胞を用いたin vitro実験を行った。 SREは、TSODマウスの腸管膜脂肪においてTGの加水分解を担うホルモン感性リパーゼHSLとadiponectinの遺伝子発現を有意に増加させ、血清中adiponectin濃度も有意に増加させた。PTEは、高脂肪食接種群と比較し体重増加抑制作用、内臓脂肪蓄積抑制作用、肝肥大抑制作用、耐糖能異常改善作用を示し、脂肪肝を顕著に抑制した。また、褐色脂肪組織の活性化も認められた。 さらに3T3-L1細胞では、細胞内TG蓄積量が、SREの濃度依存的に減少し、100μg/mLでは無処置群に比して約30%低下した。この時、脂肪細胞分化を制御する転写因子PPARγのmRNA、およびタンパク発現量は共に約60%低下した。更に、PPARγの標的遺伝子のmRNA発現量も有意に低下していた。一方、上清中グリセロール量は約40%増加しており、HSL mRNA、およびタンパク発現量も有意に増加していたことから、加水分解の亢進が示唆された。 以上より、SREは血清中adiponectinを上昇させ加水分解を亢進することで肥満治療効果を示すことが示唆された。PTEは、肝臓および褐色脂肪に作用して抗肥満効果を示すことが示唆された。これらの結果は、脂肪肝炎の治療法確立に寄与する重要な知見と考えられる。
|
-
-
-
-
[Journal Article] A liver-derived secretory protein, selenoprotein P, causes insulin resistance2010
Author(s)
Hirofumi Misu, Toshinari Takamura, Hiroaki Takayama, Hiroto Hayashi, Naoto Matsuzawa-Nagata, Seiichiro Kurita, Kazuhide Ishikura, Hitoshi Ando, Yumie Takeshita, Tsuguhito Ota, Masaru Sakurai, Tatsuya Yamashita, Eishiro Mizukoshi, Taro Yamashita, Masao Honda, Ken-ichi Miyamoto, Tetsuya Kubota, Naoto Kubota, Takashi Kadowaki, Han-Jong Kim, In-kyu Lee, Yasuhiko Minokoshi, Yoshiro Saito, Kazuhiko Takahashi, Yoshihiro Yamada, Nobuyuki Takakura, Shuichi Kaneko
-
Journal Title
Cell Metabolism
Volume: 12
Pages: 483-495
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-